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 重症患者の治療を優先し、社会への影響を最小限にとどめる-。政府は、新型コロナウイルスによる肺炎患者が国内で大幅に増える事態に備えた基本方針を決めた。

 政府の専門家会議は「これから1~2週間が急速な拡大か終息かの瀬戸際だ」との見解を示している。対応が後手に回って「医療崩壊」が起きないよう、緊張感を持って対策に臨んでもらいたい。

 現状では、新型肺炎患者は専門の医療機関で受診するルールになっている。大規模な感染拡大が起きている地域はないとの政府の認識に基づくものだが、患者数は日々増加している。

 そこで基本方針では、患者が大幅に増えた地域が発生すれば、一般の医療機関でも感染が疑われる人を受け入れることを決めた。症状が軽い場合、自宅療養を原則とした。一方で、重症者を優先して診察する医療機関なども整備することを盛り込み、役割分担を明確にした。

 重症患者に対応できる医療施設や医師らは限られている以上、一定の線引きは必要だろう。自宅療養中に重症化した患者を速やかに治療できる態勢も求められる。

 患者が増え続けている地域については、ウイルス検査を感染者の把握ではなく入院が必要な患者の診断に充てるとした。インフルエンザのような簡易検査が開発されていない中で、限られた検査体制を有効に活用する狙いがうかがえる。

 しかし軽症や無症状の感染例は少なくない。拡大を食い止めるには、感染者の周囲の濃厚接触者をはじめ幅広く検査を行い、感染が判明すれば行動を制限してもらうことも重要ではないか。民間企業とも連携を強化して、検査体制の強化を急がねばならない。

 気掛かりなのが、政府と専門家会議の微妙な温度差だ。

 専門家会議の尾身茂副座長は「手の届く範囲」で多くの人が一定時間以上、会話や飲食する状況に感染拡大の懸念を示した。ただ基本方針ではイベントを巡って、一律の自粛要請などはしなかった。

 全国各地でスポーツ大会や公式行事などの延期や中止が相次いでいるのは、感染拡大をどこまで恐れていいかわからないからだ。専門家会議が具体的な内容を示したのは、強い危機感を抱いている証しと受け取れる。政府の基本方針は、踏み込み不足の感が否めない。

 手洗いなどの徹底や、体調が悪ければ学校や会社を休むなど、国民一人一人が意識して行動に移すことが拡大阻止の鍵になる。その大前提として、安心できる相談窓口と医療の提供に全力を挙げる必要がある。

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