社説

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、日本経済にも深刻なダメージを与え始めた。小売業やサービス業で客足が大きく落ち込んでいる上、製造業も輸入部材の停止や海外の需要減が響く。

 日銀の大規模な金融緩和や米国の追加利下げなど、各国の金融当局は政策協調を懸命にアピールしている。しかし感染拡大に対する市場のおびえには効果が薄く、株価は乱高下を繰り返すばかりだ。

 これまでの景気不振と大きく異なり、人やモノが自由に動けるという経済活動の大前提が地球規模で制約されている。金融政策に対し、平時ほどの期待が集まらないのはやむを得ない。

 感染の終息やワクチンの開発にはまだ時間を要する。経営の余力に乏しい中小企業が資金繰りに窮すれば、破綻の連鎖を生みかねない。

 年度末が迫り、融資返済が集中する時期でもある。金融機関は異例の事態と認識し、全力で取引先を支援してほしい。

 神戸商工会議所の調査では7割以上の会員企業に、感染拡大の影響があった。兵庫県や神戸市などは中小企業向けの公的融資の利用条件を緩和した。

 さらに金融庁は、融資の返済繰り延べなどを求められれば積極的に応じるよう金融機関に通達を出した。経営者の資金繰りが円滑になるよう迅速な判断で融資してもらいたい。

 厳格な融資審査を掲げた金融庁のマニュアルは昨年末に廃止された。金融機関は独自の観点による審査が求められ、かつてのような担保重視ではなく事業の将来性や収益性などに着目する例も増えている。

 感染拡大が終息すれば、多くの事業は正常に戻る可能性が高い。それまで長い目で支え続けることが金融機関の社会的責務であると、改めて強調したい。

 今回のウイルス禍の経済的な影響は、12年前のリーマン・ショック級との見方も出てきた。ただ当時と違い、金融機関の経営が揺らぐまでには至っていない。各国が金融機関の規制を強化したことが奏功している。

 ここで金融機関が貸し渋りに走れば、ウイルス禍を増幅させて自らの足元も危うくするだろう。存在意義が問われる局面でもある。

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