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 全国民への一律10万円給付など、新型コロナウイルス対策を盛り込んだ総額約26兆円の2020年度補正予算がきのう成立した。

 政府は当初、収入が減った世帯に30万円を支給する方針だったが、閣議決定後に与党内の反発を受けて組み替える異例の展開となった。

 全国的に外出自粛を求める中で、国産農水産物の販売促進や国内旅行への補助など、感染終息を見越した需要刺激策や感染対策と縁遠い項目まで計上して事業規模を膨らませた点は違和感がぬぐえない。

 経済活動に急ブレーキがかかり、医療は崩壊の危機に直面している。未曽有の大災害に匹敵する先行き不安が社会に広がっているのに、政府の認識は平時を脱却できていない。そのことを示した予算といえる。

 政府は直ちに意識を切り替え、命と暮らしを守るために今必要な追加策を検討するべきだ。

 差し迫った課題の一つは、雇用の維持である。コロナ関連で解雇や雇い止めにあった人は全国で3千人を超えた。感染拡大が続けば経営不振や破綻が幅広い業種に及び、状況はさらに悪化するとみられる。

 政府は補正予算で、企業が従業員を休ませた場合に支給する雇用調整助成金の助成率を引き上げ、適用対象を拡大した。フリーランスに対する助成金も新設した。

 ただその内容は、非正規で働く人や中小事業者の窮状を支えるには不十分と言わざるを得ない。雇用調整助成金の上限は従来の日額8330円のままで平均給与を下回る。与党からも増額を求める声があるのは当然だろう。

 手続きの煩雑さも問題だ。厚生労働省は申請書の記入項目を半減させたが、それでも38にのぼる。申請件数の急増も相まって、企業が実際に給付を受けるまでにはかなりの時間を費やす。こうした点を嫌い、助成金の申請自体に後ろ向きの企業も少なくない。雇用を維持しようとする意欲に水を差すことが懸念される。

 不正受給を防ぐ狙いだろうが、非常時との認識に立てば、まず積極的な給付に努め、事後に不正を取り締まる形に転換する必要がある。

 国会審議は祝日の4月29日も行われ、主な野党が予算の早期執行に協力するとの理由で賛成に回った。同時に、野党側からは休業に応じた事業者の家賃負担軽減や学生への支援、医療現場への支援など補正予算の不備も具体的に指摘された。

 政府は、緊急事態宣言の延長を検討している。社会や経済の混乱を抑えるには、今回の補正予算だけでは対応できないはずだ。野党の提案にも耳を傾け、的確な追加策を速やかに打ち出さねばならない。

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