社説

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 政府は新型コロナウイルスによる経済危機への緊急対策を盛り込んだ総額約32兆円の2020年度第2次補正予算案を閣議決定した。

 中堅・中小事業者への家賃補助や生活が困窮する学生への給付など、1次補正で積み残された施策が並ぶ。1次と合わせた事業規模は約234兆円超と国内総生産(GDP)の4割に膨れ上がる。「世界最大の規模」と安倍晋三首相は強調したが、スピード感を欠いては実効性を失う。いまだ届かない世帯も多い「アベノマスク」はその典型だ。

 緊急事態宣言が解除されても経済の復調は見通せない。巨額の国費が適切に使われるよう、国会や国民が目を光らせる必要がある。

 家賃補助は最大600万円を支給する。雇用調整助成金も上限額が引き上げられた。2カ月近い休業要請で多くの事業者が運転資金に窮しており、事業継続の一助になる。事務作業の効率化や簡略な審査で迅速に支給することが必要だ。

 業績が悪化した大企業や中堅企業向けの資本支援策も計上された。ことし4~6月期のGDPは20%台の下落が予測され、上場企業の多くが業績予想を示せない異例の事態となっている。多くの下請けを擁するなど、経営不振による社会的影響が広範囲に及ぶ企業を優先的に支援するべきだ。

 自治体向け臨時交付金は2兆円と1次補正の倍になった。政府が当初、この交付金を休業給付の財源に充てるのを拒んだのは記憶に新しい。増額だけでなく、地域の実情に応じた対策を自治体が講じるためのサポートも十分行ってもらいたい。

 一方、目を引くのは10兆円もの予備費だ。20年度当初予算の20倍、1次補正の6倍にあたる。

 感染拡大の第2波に備える狙いとしても、異例の巨費である。国会審議を経ずに政府の裁量で使えるため、真に必要な支出かの見極めが甘くなりかねない。東日本大震災の復興予算が他地域のインフラ整備などに使われたことを思い起こす。国会の定期的なチェックは不可欠だ。

 2次補正の財源は1次同様、国債で賄う。新規国債発行額は過去最大の約90兆円となり、歳出の56・3%を国債が占める。もはや財政規律は棚上げされた感がある。

 首相が補正予算の事業規模を誇るのは、巨額の財政出動で休業補償に踏み切った欧米を意識するからだろう。だが倣うべきは給付の迅速さと、平素の健全財政で財政出動の余力を残していた点だ。

 非常時とはいえ、借金への依存は将来に重いツケを回すことになる。そのことを安倍政権は忘れてはならない。

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