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 また、悲惨な事件が起きてしまった。宝塚市の民家で、ボーガン(洋弓銃)の矢に撃たれて男女3人が死亡、女性1人が重傷を負った。この民家に住む23歳の男が殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。

 亡くなったのは容疑者の母と祖母、弟で、けがをしたのは伯母だった。矢は至近距離から放たれたとみられる。家族の手で次々に狙い撃たれたのであれば、あまりにも常軌を逸しており、言葉を失う。

 容疑者は自称大学生で、祖母らと同居していたとみられる。「家族を殺すつもりでやった」と供述しているという。兵庫県警は、残酷な事件に至った経緯とその背景を詳しく解明してもらいたい。

 死亡した3人は、矢が刺さった状態で見つかった。弟は矢を2本も撃たれていた。首に矢を受けた伯母については「電話で自宅に呼び出した」と話しているという。

 事件後、容疑者は逃げることなく玄関先で身柄確保された。態度も落ち着いていたといい、計画的な行動だった可能性がある。

 近くの住民らは「まじめな印象」「普通の好青年に見えた」と話している。そうした若者が殺意を抱いたとすれば、なぜなのか。多くの疑問に答える慎重な捜査が必要だ。

 同年齢の学生たちは、ちょうど就職活動のヤマ場を迎えている。今年は企業の採用意欲が後退するなど、コロナ禍が影を落とす。外出自粛も日常生活に大きな影響を与えているはずだ。こうした点との関連の有無も、焦点の一つとなるだろう。

 使用したとみられるボーガンはリビングの机の上に置かれ、幅70センチほどの大きさだったという。銃に弓を張ったような射撃用具で、海外では狩猟などに用いられるほか国内でも競技で使われる。

 ただ残念ながら、これを悪用した事件が近年続いている。

 2015年に茨城県で自転車の男性が右脚をボーガンで撃たれ、ふくらはぎを貫通する2カ月のけがを負った。同年、愛知県でも男性がボーガンや刃物で襲われている。13年には川崎市で少年が母親を矢で撃つなどして殺害している。こうした事実は看過できない。

 ボーガンを隠して携帯することは軽犯罪法で禁じられている。茨城県では青少年健全育成条例で有害器具に指定され、18歳未満への販売や貸与ができない。

 だが実際はインターネット上で販売されており、入手するのが難しくないのが現状だ。

 殺傷能力の高い危険な道具であることは明らかである。国には、新たな法的な規制を早急に検討してもらいたい。

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