社説

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 梅雨本番を前に、政府の中央防災会議は防災基本計画を改定した。昨年相次いだ台風被害の教訓に加え、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた対策を強調している。

 避難所は不特定多数が密集し、感染拡大のリスクが高いとされる。避難者同士が十分な距離を保つにはその数を増やさねばならない。兵庫県の場合、現在の約2500カ所を2倍以上にする必要があるという。

 だが、既存の公共施設では浸水の恐れがあるなどで追加指定が難しい自治体もある。ホテルや旅館などの活用も広く検討してもらいたい。

 避難所運営の見直しは急務だ。県は今月公表した新たなガイドラインで、3人家族で20平方メートルの居住面積が必要と算出し、難しければ世帯ごとに間仕切りを設けるよう求めた。

 尼崎市は濃厚接触者や帰国者向け専用避難所を確保する。神戸市は妊婦や障害者らが感染を恐れて避難をためらうことがないよう、ホテルなどの宿泊代を一部助成する。

 避難所内のレイアウトや職員の配置も再検討する必要がある。各自治体が実情に合った指針を早急に作成し、感染症との「複合災害」を想定した避難訓練などを住民とともに重ねることが大切だ。

 コロナ禍で品薄状態が続いたマスクや消毒液などの備蓄も課題だ。全国の備蓄状況を把握し、融通し合うシステムがいるのではないか。

 過密を避けるため、政府が呼びかけるのが「分散避難」だ。住民側も複数の避難先を考えておきたい。安全な場所にいる場合は混雑する避難所には行かず、自宅にとどまる「在宅避難」や、親戚や知人の家などへの一時避難も選択肢となる。

 重要なのは、どこに避難するかを判断できる正確な情報である。

 兵庫県は、県内の河川について「千年に1度」規模の大雨がもたらす浸水想定を発表している。従来は浸水しないとされていた水系でも広範囲に被害が及ぶ想定だ。

 市町の最新のハザードマップなどで自宅や職場、よく立ち寄る場所の被害想定を確認し、避難先や避難ルートを家族とも話し合っておこう。在宅避難することも考え、自宅の備蓄の見直しにも取り組みたい。

 一方、昨年の台風災害では路上生活者の受け入れを拒んだ自治体があった。住民票の有無にかかわらず、避難してきた人を受け入れる対応は徹底すべきだ。

 テレワークや時差出勤などコロナ禍で広がった働き方の選択肢は、災害時にも生かせる。企業は事業継続計画(BCP)に積極的に取り入れ、減災につなげねばならない。

 身を守る方法を一人一人が考え、備えを怠らないようにしたい。

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