社説

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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で病院の経営が悪化している。

 感染を恐れて一般の患者が受診を控えたり、病院側が新型コロナの対応に追われて診療できる患者数が減ったりしたためだ。

 兵庫県保険医協会が3月下旬~4月上旬に実施した緊急アンケートでは、会員病院や医科診療所の8割近くが「患者が減った」と回答した。医学部を置く国公私立の大学が参加する「全国医学部長病院長会議」の試算によると、4月の診療実績が続けば、80病院で年間計約5千億円の減収となる見通しだ。

 経営への圧迫が続く中、非常勤の医師を解雇したり、ボーナスの減額方針を示したりする病院も出始めている。閉院を検討する開業医もいるという。事態は深刻だ。

 ここまで医療崩壊を何とか回避してきたものの、別の形で医療の危機が迫っていると言っていい。

 新型コロナの感染が広がる前から経営に余裕のない病院は少なくない。破綻が相次げば、大規模病院に患者が集中して今度こそ医療崩壊を招きかねない。第2波に備え、政府は財政支援を強化すべきだ。

 特に深刻なのが、新型コロナ感染者の治療に当たる病院の経営状態である。全日本病院協会など3団体の調査では、全国の加盟病院の4月の利益率はマイナス8・6%だった。これを感染者を受け入れた医療機関だけでみると、マイナス10・8%となり、より大きな打撃を受けたことがうかがえる。

 感染者の治療には、医師や看護師らを通常より手厚く配置する必要がある。資機材や設備も整えねばならない。確保した専用病床に空きが出た場合は減収が避けられない。

 政府は5月にコロナの重症患者の入院料に対する診療報酬を通常の3倍に引き上げた。第2次補正予算案では専用病棟での空床補償を設けている。兵庫県も補正予算案に機器の導入支援充実などを盛り込んだ。だが、これでも十分とは言えない。

 コロナ対応は長丁場になると想定されている。地域の診療態勢をどう維持するかという点と併せ、長期的な視点に立った抜本的な対策も検討せねばならない。

 他の疾患の患者が受診を控える傾向も放置できない。国が時限措置で認めた初診からのオンライン診療をより多くの人が利用できるよう環境整備を進めたい。

 国民が安心して暮らすには、地域の医療機関の経営安定が欠かせない。このままでは、次の波が到来したとき、感染者の受け入れをちゅうちょする病院が出かねない。政府は厳しい現状を受け止め、適切な手を打つ必要がある。

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