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 将棋の藤井聡太七段が第91期棋聖戦5番勝負の挑戦者として渡辺明棋聖と対戦し、初戦の第1局で白星を挙げた。

 藤井七段は挑戦者決定戦で永瀬拓矢二冠を破り、17歳10カ月20日という最年少タイトル挑戦記録を打ち立て、この大舞台に臨んだ。

 屋敷伸之九段が記録した17歳10カ月24日を31年ぶりに塗り替える快挙は、新型コロナウイルス禍による重苦しさを吹き飛ばすような明るいニュースだ。プロデビューから3年半の間に積み上げてきた努力には目を見張るものがある。

 5番勝負で3勝してタイトルを奪取すれば、屋敷九段が1990年に残した18歳6カ月の最年少タイトル獲得記録が更新される。将棋ファンのみならず熱い注目を集める対局の行方を、楽しみに見守りたい。

 史上最年少の14歳2カ月でプロ入りした藤井七段は、デビュー戦から29連勝して公式戦最多連勝記録を達成し、世間を驚かせた。その後も一般棋戦優勝、全棋士参加棋戦優勝、六段・七段昇段、プロ入り通算100勝など最年少記録を刻み続けた。その躍進と成長ぶりは驚異的だ。

 しかし八つのタイトル戦挑戦に向けた歩みは、必ずしも平たんなものではなかった。昨年の王将戦では、あと一歩のところで手が届かなかった。自ら「時間配分で課題がある」「局面の見極めが足りない」などと語っていた。

 そこから課題を克服し、今期の棋聖戦本戦トーナメントでは前名人の佐藤天彦九段らを次々と破った。最年少タイトルへの期待を一身に背負い、タイムリミットが迫る中、挑戦権をつかんだ。

 新型ウイルスの影響もあった。予定されていた対局は延期され、先の見えない状況が続いた。師匠の杉本昌隆八段は「社会や日々の生活が大きく変化していく中、集中力を持続させた」とたたえる。

 渡辺棋聖は棋王、王将との三冠を誇るトップ棋士である。史上4人目の中学生棋士としてデビューし、初タイトルとなる竜王を20歳で獲得、5連覇して初代永世竜王の資格を得た。永世棋王の資格も持つ。

 その渡辺棋聖が、この5番勝負を「間違いなく将棋史に残る戦い」と述べている。後に語り継がれる名勝負になるよう、渡辺棋聖の名手にも期待したい。

 第2局は今月28日にあり、第3局以降も7月中に予定されている。

 延期していた第61期王位戦挑戦者決定紅白リーグも、最終戦が13日に迫る。藤井七段は白組首位で、木村一基王位への挑戦権を狙う。王位戦で最年少タイトルを得る可能性もある。なおさら目が離せない。

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