社説

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 2021年春卒業予定の大学生らを対象にした企業の採用面接が、今月から始まった。

 企業と学生の双方にとって最大の不安は、新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない点だ。就活のあり方が一変しただけでなく、採用意欲にも影響を及ぼしている。

 世界が経験したことのないウイルス禍にあっても、事業活動の継続に新しい人材は欠かせない。企業側は長期的な視野に立つとともに、学生側も自らの適性を見極めて、双方のプラスにつなげてほしい。

 神戸新聞社や共同通信社の調査では、20年春に比べて採用を「増やす」と答えた企業の割合が下がったり、「減らす」とした比率が上昇したりした。昨年までの売り手市場は陰りを見せ、採用抑制の動きが出始めている。

 顕著なのは、外出自粛で客足が大きく落ちこんだ航空やサービスだ。ANAホールディングスや日本航空、スカイマークが採用活動を一時中断したほか、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の運営会社は採用自体を中止した。他の業種にも広がらないか懸念される。

 「3密」回避で合同企業説明会が開けなくなり、各社はウェブ面接など新たな手法を模索している。

 パナソニックは例年7月までだった選考期間を9月まで延長し、大和証券グループ本社も年明け以降まで採用活動を続ける方針だ。兵庫県内では、アパレル大手ワールドが若手社員と就活生のオンライン座談会を開いた。タイヤ大手TOYOTIREはウェブ面接を対面の倍の1時間にし、「業務スーパー」をフランチャイズ展開する神戸物産はエントリーシートの質問項目を追加した。

 いずれも学生とのコミュニケーションをいかに深めるかに腐心していることがうかがえる。

 一方で学生側に認識してほしいのは、選考などは遅れていても採用活動自体は粛々と進んでいる点だ。就職情報会社によると、1日時点の内定率は約57%と前年に比べ約13ポイント低下したものの、現行の採用スケジュールとなった4年前の同時点での数字は上回った。

 これまでのスケジュールが参考になりにくく、就活が長引けば学業にも影響が出る恐れがあるが、焦りは禁物だ。職業人、社会人としての一歩を踏み出すために適性をしっかりとアピールしてもらいたい。

 懸念するのは、コロナ禍の長期化で採用減が続き「就職氷河期」が再来することだ。雇用が不安定になって技能などが身に付かず、後年に社会保障費が増えるなどの影響が指摘されている。政府は働く場づくりをしっかり支援しなければならない。

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