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 生徒が懸命に発していたSOSに教員が真剣に向き合えば、救えた命だった-。

 宝塚市立中学2年の女子生徒が2016年12月に自殺したことを受け、市の再調査委員会が調査報告書を公表した。「いじめにより自死したのは明らか」と結論付け、学校の対応について「指導放棄だった」と厳しく批判した。

 同級生から無視や陰口などのいじめを受けていた女子生徒は「居場所がどこにもない。なんのために生きてんのかがわからん。もうむり。バイバイ」と書き残している。

 学校生活に絶望し、わずか14歳で命を絶った女子生徒の苦しみ、悔しさを思うと言葉がない。遺族の心痛は察するに余りある。

 同時に、疑問がぬぐえない。

 日ごろから「命の大切さ」を教えているはずの学校や教育委員会が、なぜ同じ失敗を繰り返すのか。

 兵庫県内ではここ数年だけでも、神戸市、尼崎市、多可町などで起きた小中学生の自殺調査で、いじめに対する現場の認識の低さが浮き彫りになり、「本来、自殺は防げた」と指弾されてきた。

 二度と繰り返さないために、教育に携わる全ての人がわがこととして子どもたちへの適切な指導や支援について改めて考えねばならない。

 宝塚市の調査報告書によると、自殺した女子生徒が所属する運動部やクラスではいじめが横行し、不登校になった生徒もいた。しかし、教員はいじめられている側を責めたり、様子見に終始したりした。

 学年や学校全体で問題が共有されることもなかった。学級担任や部活顧問に任せきりの風土だったと指摘している。学校の責任は極めて重い。思い当たる学校はほかにもあるのではないか。

 「第三者委員会」のあり方も改めて問われた。

 市教委の第三者委が調査したが、遺族と信頼関係が築けず再調査委が設けられた。神戸市や多可町などのいじめ調査も同じ経緯をたどった。

 遺族が声を上げなければ扉が開かれない現状は理不尽というしかない。調査は公平公正であるべきだが、悲嘆に寄り添う姿勢が不可欠だ。関係者は肝に銘じてもらいたい。

 再調査委は、学校がチームとして機能するには教員自身が同僚にSOSを出せる環境整備が必要だと提言している。注目すべき視点だろう。

 全国的に教員の世代交代が進み、若い教員が増えている。中堅やベテランの経験を共有し、スクールカウンセラーなどの専門家と連携して学校全体の指導力を高めてほしい。それが子どものSOSをキャッチする力になるはずだ。

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