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 大手電力会社の発電部門と送配電部門を別会社にする「発送電分離」が4月から始まった。新規参入企業も送配電網を公平に使えるようにして、電力市場の競争を促す。消費者が事業者を選ぶ、「電力システム改革」の総仕上げという位置づけだ。

 一連の改革により、料金の引き下げや消費者向けサービスの多様化、再生可能エネルギーの普及などが、今後さらに進むことが期待されている。

 関西電力は、送配電部門を分社化し完全子会社を発足させた。大手電力各社も同様に送配電の新会社を設けた。送配電網は重要な社会基盤である。各社はその責務を認識し、設備をしっかり維持してもらいたい。

 大手電力会社は長年、発電、送配電、小売りの全てを提供し、地域ごとに独占してきた。電力の安定供給には寄与したが、料金の高止まりなどの弊害が指摘されていた。さらに福島第1原発事故による計画停電などを受け、政府主導でシステム改革が進められてきた。

 5年前、電力の融通を指揮する電力広域的運営推進機関が発足し、翌年に小売りの全面自由化が実現した。発送電分離は改革の最終段階に当たる。

 改革は消費者が電力会社を自由に選び、健全な競争が起きることを大きな目的にしている。だが新規参入組の「新電力」のシェアは16%にとどまる。これでは再生可能エネルギーの利用拡大も進まない。閉鎖的な市場を変える正念場はこれからだ。

 新会社には、大手と新電力が送配電網を公平に使えるよう中立性を保つことが求められる。

 今回の大手電力の分社化は「法的分離」と呼ばれる。親会社との役員兼職などは禁じられるが資本関係は残り、中立性への懸念をぬぐいきれない。

 欧米には、発電会社などとの資本関係を認めない「所有権分離」や、独立組織で運営する「機能分離」の導入例もある。送配電会社の中立性が疑われる事態が起これば、こうした方式の検討も必要だ。

 コストや災害時の電力融通を考慮すれば、送配電網はより広域的な運用が望ましいとの意見もある。送配電会社の再編も視野に入れ、改革を継続しなければならない。

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