社説

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 熊本県南部を襲った記録的な豪雨で、県内を流れる球磨(くま)川が広い範囲で氾濫し、土砂崩れや洪水に巻き込まれて多くの死者、安否不明者が出ている。交通網の寸断で孤立した地域が複数あるなど、被害の全容はまだ明らかになっていない。

 命を守る活動が何より急がれる。警察、消防は自衛隊と連携し、救助と捜索に全力を尽くしてほしい。

 「災害弱者」が犠牲になる痛ましい事態が今回も繰り返された。同県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」が冠水し、14人が心肺停止状態で見つかった。自力で動けない利用者が多く、介護体制が手薄な夜間は避難も困難だった可能性がある。

 警報発表や避難勧告・指示のタイミングは適切だったのか。施設に義務付けられていた避難計画作成や訓練は効果があったのか。今後に生きる検証が必要だ。

 雨は3日に降り始め、熊本県内で24時間に最大200ミリの雨量が予想されるとして熊本地方気象台が警戒を呼びかけていた。だが雨量は予想の2・5倍に達した。

 気象庁が熊本、鹿児島両県に、数十年に1度の重大な災害が予想される「大雨特別警報」を出したのは4日午前4時50分だった。未明に雨脚が強まってからの避難はかえって危険で、住民が行動に移すのは容易ではなかっただろう。

 豪雨の原因は、停滞する梅雨前線に湿った空気が流れ込み、積乱雲が次々と生まれる「線状降水帯」とみられる。2年前の西日本豪雨や3年前の九州北部豪雨と同じメカニズムで、最新技術でも正確な予測は難しい。近年は地球温暖化の影響もあり、毎年のように梅雨時に予想を超える被害をもたらしている。

 球磨川は日本三大急流の一つで、流域は水があふれやすい地形で何度も深刻な浸水被害に見舞われている。予測困難な気象現象が起きていたのならなおさら、早めに避難を促す警告が必要だったのではないか。

 気象庁は西日本に引き続き警戒を呼びかけている。万一に備え、地域の被害想定や家庭の備蓄などをいま一度確認しておきたい。

 コロナ禍では、被災者支援にも新たな対応が求められる。避難所では「3密」を避け、手洗いや消毒の徹底、定期的な検温など感染予防に留意しなければならない。感染を恐れ、在宅や車中、知人宅への避難を選択する人もいる。広域の分散避難に対応するため、国や他の自治体が連携して支援に取り組むべきだ。

 感染者は再び増えており、ボランティアも現地に入りにくい状況にある。まずは被災地内の支援団体などとのつながりを生かし、被災者を支える方法を考えたい。

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