社説

  • 印刷

 来年の大学入試の日程が決まり、文部科学省が公表した。

 新型コロナウイルスの影響で学習に遅れが生じている。休校期間が地域で異なる上に、オンライン授業の有無などによる学校間の差も大きい。現役生への配慮が焦点だったが、ほぼ予定通りのスケジュールに落ち着いた。

 ただし、センター試験の後継となる大学入学共通テストには特例が設けられた。当初予定の日程に加え、その2週間後に「第2日程」を全都道府県で行う。コロナで影響を受けた現役生はどちらかを受ける。

 「受験生が第一との思いで考えてきた」と萩生田光一文科相は話す。だが、2週間の繰り下げは果たして救済策になり得るだろうか。かえって困惑させはしないか。

 高校の校長会は、共通テストだけでなく入試全体を1カ月程度遅らせるよう求めていた。しかし、国公立大の2次試験や私立大の一般選抜の日程はほとんど変わらない。

 兵庫県内の高校長は「第2日程は2次試験までの期間が短い。過密スケジュールを嫌い、多くが第1日程を選ぶだろう」と話す。

 入試の公平性を確保する観点から、何より各大学に求めたいのは現役生への配慮である。

 出題範囲の絞り込みや、選択問題を増やすなどの柔軟な対応が必要だ。大学側の負担は少なくないが、試験会場の「3密」回避などと併せて工夫を凝らしてほしい。

 文科省は国公私立大に通知を出している。高校3年での履修が多い数学3、物理、世界史Bなどに選択問題を設けることや、共通テストでの受験科目数を減らすことなどを求める内容だ。感染症の再流行に備えて事前に再試験の日程を設けることも促している。

 受験勉強に大きく影響するだけに、文科省は各大学に速やかな方針決定を要請し、受験生への丁寧な情報発信に努めねばならない。

 今の高校3年生は、ただでさえ大学入試改革に振り回されてきた。

 共通テストでは国語と数学の記述式問題や民間英語検定試験の導入が予定されていたが、制度設計がいずれもずさんで見送られた。さらにコロナ禍で急浮上した「9月入学」の検討に手を取られ、入試日程の決定がずれ込んだ。この学年が公平な条件の下で受験に臨めるよう、国と大学は責任を果たすべきだ。

 将来的には、インフルエンザなどが流行しやすい冬季に数十万人が一斉に受ける試験のあり方を見直す必要がある。9月入学をはじめ、大学の入学時期の複数化も検討に値するだろう。議論を始めるのに決して早すぎることはない。

社説の最新
もっと見る

天気(8月7日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 30%

  • 32℃
  • ---℃
  • 40%

  • 35℃
  • ---℃
  • 10%

  • 35℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ