社説

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 貿易を巡る日韓の対立が再燃している。コロナ禍で世界経済が大きく落ち込む中、両国政府はいま一度冷静になるべきだ。

 日本は昨年7月、韓国向け半導体材料の輸出規制強化に踏み切った。その後、局長級対話が再開するなど一時は歩み寄りに向けた動きがあった。しかし、解決の糸口が見えないまま、韓国は世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを再開すると表明した。

 この1年で規制強化が双方に与えた負の作用は決して小さくない。

 規制対象の半導体材料は世界的に日本のシェアが高いが、韓国が国産化に乗り出すなど、日本企業は打撃を受けている。また、韓国国内の不買運動で多くの日本製品の売り上げが急減し、今も影響が続く。

 一方、韓国政府は半導体材料の「脱日本依存」を国内世論向けに誇っているが、韓国企業のコスト要因になっているとの指摘がある。

 WTOの紛争処理は数年かかる。泥沼化すれば、日韓の産業界の国際競争力がそがれることになりかねない。自治体などの人的交流もコロナ以前からほぼ止まったままだ。

 両国政府は「勝者なき応酬」に終止符を打ち、対話を通して打開策を模索せねばならない。

 対立の根っこには元懲用工の問題がある。

 1965年の日韓請求権協定で「解決済み」とされてきた。ところが2018年10月、韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じた。今夏にも差し押さえた企業資産を売却するかどうかの本格的な検討が始まるとみられ、予断を許さない。

 まずは韓国政府が責任を持って向き合う課題だ。文在寅(ムンジェイン)政権は司法判断の尊重を理由に事実上放置しており、容認しがたい。日本政府が対応を強く求めるのは当然である。

 ただ、日本の姿勢にも首をかしげざるを得ない。

 そもそも輸出規制強化は元徴用工問題に対する事実上の対抗措置として発表された。安倍政権は安全保障が理由だと強調するが、具体的な説明はしておらず説得力に乏しい。歴史問題に経済を絡めることは避けるべきだった。

 米中の対立が深刻化し、北朝鮮は韓国を威嚇する言動を繰り返している。アジアの安全保障の観点からも、日韓が協調する重要性はいっそう増している。

 例えば、両国関係が正常ならば、駐留米軍の経費増額を主張している米トランプ大統領に対して共同で対処することもできる。

 「相手に非がある」との姿勢では対話は生まれない。両国首脳は現実を直視するときだ。

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