社説

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 九州などを襲った豪雨災害の発生から20日たつ。これまでなら全国からすぐに駆け付け、泥の除去や家の片づけなどに力を発揮してきた多くのボランティアが、被災地入りをためらわざるを得ない状況が続く。

 新型コロナウイルスの感染防止を理由に、熊本県社会福祉協議会などが災害ボランティアセンター(VC)での受け入れを当面県内在住者に限定しているためだ。

 被災地での活動実績を持つ団体でつくる「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」も6月、支援は原則として被災地域の住民で対応するとの指針を公表した。

 約6千件の浸水被害が出た同県人吉市で、VC開設から10日間で活動した人は約3千人。昨年の台風19号で同規模の被害に遭った長野市に10日間で約1万3千人が集まったのに比べ、4分の1に満たない。

 「圧倒的に人手が足りない」と先週現地調査に入った「ひょうごボランタリープラザ」の高橋守雄所長は危惧する。被災地は高齢化が進んだ地域が多く、水につかった家財道具や災害ごみが玄関先に山積みのまま、泥出しもままならない家が目立つ。道路が寸断され、被災状況の確認すら難しい地域もある。

 手助けがほしいのはやまやまだが、地域に感染拡大を招くリスクを考えるとSOSを発しにくい。コロナ禍で身動きのとれない被災地の窮状に、もどかしさが募る。

 水害の復旧作業は、早期に多くの人手が要る。20人がかりで1日1軒を片づけるのがやっとといい、県内限定のボランティアで対応しきれないのは明らかだ。感染防止に配慮しつつ、必要な人員を広く集める仕組みづくりを急がねばならない。

 ボランティアが被災地入りする前後の行動履歴を記録し、検温や消毒などの感染対策を徹底するのは当然である。さらに被災者に安心して受け入れてもらうために、希望者へのPCR検査や簡易な抗原検査などの体制整備を検討してはどうか。

 そんな中、被災地の市民団体などと連携して、独自の支援を模索する民間の動きが活発になってきた。

 阪神・淡路大震災以降、被災地支援に取り組む「被災地NGO恊働センター」(神戸市兵庫区)は大分県日田市のNPO法人などと協力し、被災者向けのオンライン相談会を試みた。県内各地の団体が、物資の寄託や募金活動に取り組んでいる。

 離れていても、支えたい気持ちを伝える手段はある。自分にできることは何かを考え、被災者一人一人に寄り添うのが災害ボランティアの本質だろう。コロナ禍で初めて経験する大規模災害を、その意義と課題を見つめ直す機会としたい。

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