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 新型コロナウイルスの感染拡大のために延期された東京五輪まで、あと1年となった。

 本来ならこの夏、国立競技場での開会式に続き、各国選手による競技の感動が世界に伝えられていたはずだった。あらためて感染症の世界的な影響を実感するとともに、夢が遠のいたことが残念でならない。

 来年の日程について、大会組織委員会は、7月第4金曜日から17日間という当初計画を維持する方針を決めた。開会式は7月23日となる。

 組織委によると、今年予定していた全競技会場や主な関連施設は来年も使える見通しがついたという。

 経費削減のための簡素化を進める具体策は、これから詰めなければならない。感染防止策は政府と東京都、組織委による対策会議で議論する。限られた時間内で従来の五輪にはなかった方針を定め、実行していく難題が立ちはだかる。

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「観客を減らすことも検討すべきシナリオの一つ」と述べたが、開会式や閉会式の縮小には難色を示している。テレビ局との契約などが関係しているという。

 しかし簡素かつ安全な五輪を目指すなら、演出の過剰さが指摘されてきた式典の思い切った見直しや、無観客での競技実施なども、聖域を設けずに議論してもらいたい。

 大会運営の変更には、数千億円規模ともいわれる追加費用の問題も絡む。組織委はスポンサー企業に追加拠出を求めるが、観客数が減るなどすればPR効果も減り、協力が得られにくくなる懸念があるという。

 この際、スポンサー頼みや商業主義から少しでも離れる簡素化を検討するべきだ。「平和でよりよい世界の実現に貢献する」という五輪の原点を再確認する契機にしたい。

 大会の実施に向け、無視できないのは国内の世論である。

 共同通信社が7月中旬に行った世論調査では、東京五輪・パラリンピックを「再延期すべき」と答えた人が36%、「中止すべき」も34%に上った。世界の感染が収束するとは思えないとの理由が最も多かった。

 開催となれば、感染者の多い国からの来訪もあり得る。7割の人が来夏の開催をためらう心情は十分に理解できる。IOCは再延期しないとの立場だが、感染状況次第では収束後への会期変更についても、日本側から提起する必要があるだろう。

 一方で、国民の安全が見通せない場合は、開催中止という選択肢も想定しておく必要がある。

 政府や組織委には、予定通りの開催という結論ありきではなく、感染防止を何よりも優先し、前例にとらわれない冷静な判断を望みたい。

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