社説

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 新型コロナウイルスの感染が全国で再拡大し、豪雨災害も発生している。そうした状況を受けて、立憲民主党など野党4党は臨時国会の早期召集を要求する方針を固めた。

 政府の危機対応について、安倍晋三首相らに説明責任を果たすよう求めるためだ。

 しかし、首相は例年秋に開会される臨時国会の召集すら確約しておらず、自民党も早期召集に消極的な姿勢を崩していない。このため野党は内閣の「臨時会召集義務」を明記した憲法53条を根拠に、政府に強く迫る構えを見せている。

 53条は「衆院か参院どちらかの総議員の4分の1以上が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならない」と規定する。政府は時間稼ぎをせず、憲法が定める義務を果たさねばならない。

 政府、与党は大幅な会期延長を求める野党の声を受け入れず、先の通常国会を6月17日に閉会した。それ以降は閉会中審査の形で、衆参両院で委員会を開いてきた。

 ただ、この間、政府の責任者である首相は一度も姿を見せていない。西村康稔経済再生担当相や菅義偉官房長官らに答弁役を丸投げし、「巣ごもり状態」と批判されている。

 通常国会では、「桜を見る会」を巡る政治とカネの問題や、森友学園問題で自死した近畿財務局職員の妻の告発など、首相自身にまつわる疑惑も焦点となった。だが解明が進まないまま会期末となった。

 喫緊の感染症対策でも、当初からの対応の検証に加え、「Go To」事業のあり方や、新型コロナ特措法の改正論議など、国会で議論すべき課題は山積している。

 もともと首相は国会審議に消極的とされてきた。先の国会でも、官僚が用意した文書を読み上げる場面が多く、逃げの姿勢が目立った。

 3年前には衆参の4分の1以上の議員が政府に臨時国会召集を要求したが、約3カ月も応じず、ようやく召集しても、審議入りの前に衆院を解散してしまった。

 こうした政権の姿勢には、司法もくぎを刺している。那覇地裁は今年6月、国会議員が起こした訴訟で「53条に基づく要求があれば召集する義務がある」との判断を示した。

 「裁判所の審査権は及ばない」とする政府の主張を退け、「召集は内閣の法的義務」とも明言している。筋の通った司法判断であり、政府の言い逃れは許されない。

 そもそも首相は「説明責任を果たす」と繰り返してきた。コロナ禍で国民生活が深刻な影響を受けている時期だからこそ、国会で耳の痛い指摘に向き合い、自身の姿勢や政府の方針を謙虚に見直すべきである。

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