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 少子化が一段とペースを増している。厚生労働省が公表した人口動態統計(概数)によると、2019年生まれの赤ちゃんは約86万5千人だった。初の90万人割れで、政府は「86万ショック」と強い危機感を示す。

 女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1・36となり、前年から0・06ポイント低下した。05年の1・26を底に、その後幾分回復したが、4年連続で前年を下回り、減少幅も拡大している。

 このままでは将来の働き手が不足し、社会保障制度の維持も危ぶまれる。

 政府は1994年以降、「エンゼルプラン」の策定などさまざまな少子化対策を講じ、昨年10月からは幼児教育・保育の無償化も始めた。しかし、目に見える成果に結び付いていない。

 何が足りないのか、方向性は間違っていないか、過去の施策を検証し、抜本的な見直しを進める必要がある。

 政府は今年5月、今後5年間の指針となる「第4次少子化社会対策大綱」を決定した。若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1・8」を目指すと明記し、6%台にとどまる男性の育児休業取得率を30%にするなどの目標を掲げた。

 少子化に歯止めがかからない背景に、未婚化や晩婚化に加え経済的な不安や仕事と育児の両立の難しさなどがあると指摘し、不妊治療の費用負担軽減や育休中の給付金など経済的支援の拡充も提言している。

 これらは、政府の全世代型社会保障検討会議の中間報告にも盛り込まれた。

 だが、前の大綱で掲げた数値目標の多くは未達成だ。いくら高い目標を設定しても、実現に向けた支援策が従来の延長上では有効打に欠ける。財源確保の見通しも示していない。政府の本気度が疑われる。

 出産・子育て支援団体が5月に公表した約3千人の意識調査では、約7割が「子どもを産みやすい国に近づいていない」と答えた。コロナ禍による景気や雇用の悪化で結婚や子育てをためらう人が増える恐れもある。

 政府は一層の危機意識を持ち、望む人が安心して子どもを産み育てられる環境づくりに全力を挙げるべきだ。

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