社説

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 自国第一主義が強まり、自由や民主主義といった普遍的価値観が挑戦を受けている-。

 2020年版の外交青書は国際情勢の現状を、こう指摘する。新型コロナウイルスの感染拡大が、そうした傾向に拍車をかけているように映る。

 安倍晋三首相は「外交の安倍」を盛んにアピールしてきた。不確実性が増す中、発信力が一層問われている。

 ところが、首相が「戦後外交の総決算」と位置づける北方領土や日本人拉致問題で進展は見られず、青書は手詰まり感を反映した内容となった。

 ここでも、国民に丁寧に説明し、理解を得ようとする姿勢はうかがえない。

 北方領土の記述はここ数年、めまぐるしく変わった。19年版で「北方四島は日本に帰属する」との従来の表現を削除した。20年版で再明記したが、「わが国が主権を有する島々」との表現にとどまった。

 「4島」ではなく、なぜ「島々」なのか。歯舞、色丹の2島返還交渉へと転換したのか。首相自ら答えるべきだ。

 今年7月にはロシアが憲法を改正して「領土割譲禁止条項」を設けるなど、日ロ交渉は先が見通せなくなっている。

 韓国については、3年ぶりに「重要な隣国」という表現を復活させた。その上で、元徴用工訴訟や慰安婦問題などを挙げ、「日韓関係は厳しい状態が続いた」と指摘した。

 元徴用工問題では日本企業の資産の現金化へ向けた司法手続きが進み、予断を許さない。まずは韓国政府の責任で解決策を示す必要があるが、日本にも報復措置の応酬を避ける外交努力が求められる。

 中国には配慮をにじませた。新型コロナで延期された習近平国家主席の国賓来日を再調整する前提に立つからだろう。

 だが、沖縄県・尖閣諸島周辺海域への中国船による領海侵入や香港への対応など、力を背景に現状を一方的に変えようとする動きは断じて容認できない。

 青書は「法の支配に基づく国際秩序に中国が積極的に関与するよう促す」とも記した。民主主義国家として、日本は言うべきことはしっかりと主張しなければならない。

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