社説

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 内閣府は、災害時に自治体が出す「避難勧告」を廃止し「避難指示」に一本化することを決めた。それぞれの違いが住民に十分に理解されておらず避難が遅れる例があり、人的被害を減らすのが目的だ。

 毎年のように豪雨などで多くの犠牲者が出ている。情報の出し方にとどまらず、どうすれば避難行動に結びつくか、住民とともに取り組みを進めたい。

 避難情報の発令は市区町村長の責務だ。河川の水位や雨量、気象庁の警報などを判断材料にする。

 内閣府の指針では、避難勧告は安全な場所への移動に必要な時間を考慮して前もって出され、避難を始めるタイミングを意味する。一方、避難指示は災害発生が切迫しているとして直ちに避難を促す。

 だが内閣府が昨年の台風19号の被災地で住民3千人にアンケートをしたところ、両方の意味を正確に理解していたのはわずか17・7%だった。

 実際に避難するタイミングを尋ねた質問では、「避難指示が出た段階」との回答が最も多い40・0%を占め、自治体側が意図する勧告段階としたのは26・4%にとどまった。勧告から指示に切り替わったのを、緊迫度が和らいだととらえる誤った認識も見られた。

 この結果から分かるのは、避難勧告が出ても指示に切り替わるまで行動を起こさず、逃げ遅るケースを生んでいることだ。

 2018年の西日本豪雨の教訓を基に、政府は昨年5段階の大雨・洪水警戒レベルを導入した。この中では危険な場所からの全員避難を求めるレベル「4」を、避難勧告や指示と同等と位置づけた。

 このことも情報の受け手を混乱させる一因となっており、改善を検討する必要があった。

 政府は来年の通常国会での改正を目指すが、逃げ遅れを防ぐのに避難情報の一本化で全て解決するわけではない。これまでの事例を見ても、避難情報が出て実際に行動に移す住民はまだまだ少ない。

 土砂災害や水害のハザードマップの周知をさらに徹底するなど、住民一人一人が危険度を正しく認識するための複合的な対策が求められている。

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