社説

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 将棋の藤井聡太棋聖が第61期王位戦7番勝負で木村一基王位を破り、4連勝で初の王位を獲得した。史上最年少でのタイトル奪取となった棋聖戦に続く快挙で、18歳1カ月での二冠達成は、羽生善治九段が作った21歳11カ月の最年少記録を28年ぶりに塗り替える偉業だ。

 さらに最年少で八段に昇段した。こちらも加藤一二三(ひふみ)・九段の18歳3カ月を62年ぶりに更新した。その強さに感嘆するとともに、大きな拍手を送りたい。

 記録を破られた羽生九段は「10代で複数冠を保持するのは空前絶後の大記録」とたたえた。

 対局後、藤井二冠は「王位戦で見つかった課題もある。実力を高めていくというのが一番の目標」と、これまでと変わらず謙虚に述べた。高校生らしいはにかんだ表情も見せるが、和服姿での落ち着いた立ち居振る舞いには風格が備わってきた。

 第4局の2日目、藤井二冠が前日に考え抜いた封じ手は、飛車を犠牲にする強気の一手だった。そこから攻勢に出て激戦を制した。

 敗れた木村前王位は46歳だった昨年、史上最年長で初タイトルとなる王位を獲得した。7度目のタイトル戦で悲願を達成したその姿から「中年の星」と呼ばれる。今期王位戦は30歳差対決としても注目されたが、藤井二冠の強さが際立った。

 藤井二冠について、谷川浩司九段は「既に弱点は見当たらない」と述べる。野球でいうなら、球速は160キロを超え、球種も多彩で、コントロールも抜群という投手なのだそうだ。将棋に詳しくない人にも、そのすごさがよく理解できる。

 楽しみなのは、今後どれだけの最年少記録を打ち立てるかだ。

 まずは最年少三冠が期待される。藤井二冠は王将戦挑戦者決定リーグへの出場が決まっている。これを制し、7番勝負で渡辺明王将=名人、棋王=に勝てば三冠となり、羽生九段の記録、22歳3カ月を抜く。

 最年少名人の記録は谷川九段が持つ21歳2カ月だ。藤井二冠が挑戦権を得るのは最速で3年後となり、記録更新の可能性はある。決して容易ではないが、期待したい。

 また、今から3年半のうちに「竜王2期」などの条件を満たせば、最年少九段になることができる。

 終盤での戦いぶりが優れていると評される藤井二冠は、人工知能(AI)と自分の考えを照らし合わせ、腕を磨いているという。それにより「序盤、中盤の力が改善された」と自己分析する。まさに時代が生んだ天才棋士である。

 これからの進化は想像もつかない。その活躍は新たな将棋ファンをつかんでいくことだろう。

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