社説

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 環境や社会と調和し、持続可能な成長を目指す企業を投資対象にする「ESG投資」が拡大している。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済の回復に向け、企業の在り方を考える契機としたい。

 ESGは環境、社会、企業統治、それぞれの英語の頭文字を取った。地球温暖化への対応や雇用の安定確保、経営の透明性など幅広い観点から企業の社会的責任を重視する考え方だ。売上高や利益といった財務データに表れない分野を評価し、投資判断のよりどころにする。

 起源は1920年代とされる。キリスト教会の資金運用で酒やたばこ、ギャンブルなど宗教上の倫理に反するものを投資対象から外した。そのことが再評価され、欧米で浸透した。

 国連は2006年にESGの観点を投資に考慮するよう求める責任投資原則(PRI)を公表。また15年には、貧困の撲滅や気候変動への対応などを目指す持続可能な開発目標(SDGs)が採択された。投資する側と、投資対象となる事業の双方にESGが努力目標となった。

 国内では15年、年金運用で世界最大の年金積立金管理運用独立行政法人がPRIに署名し、拡大の契機となった。日本での関連投資額は18年に2兆1800億ドル(約230兆円)となり、14年の70億ドルから大きく増えている。

 昨夏、米国では米主要企業の経営者団体が、顧客や従業員、取引先、地域社会など関係者すべての利害を重視すると宣言した。株主利益最優先の国にもSDGsやESGに連なる動きが表れている点は注視したい。

 稼ぐためには外部環境を顧みないという考えの企業には、今後、投資家が厳しい判断を下すだろう。自然災害の激甚化は各国で経営リスクともなっており、気候変動に対応しない企業も批判にさらされかねない。

 ESG投資には、評価方法や企業の情報開示のあり方で課題が残る。収益との関係も確固たる理論はまだない。

 しかし、目先の収益ばかりを追えば、地球環境の悪化や国際社会の格差拡大に拍車をかけることは否めない。コロナ禍にあっても、各国の企業に長期的な視点を忘れないよう求めたい。

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