社説

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 安倍政権の新型コロナウイルス対策は迷走を重ね、当初から取り組みは後手に回った。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」船内での感染拡大は、国際的な批判も浴びた。

 感染者が急増していた中国からの入国制限が遅れたのは、習近平国家主席を国賓として迎える外交日程を重視したためとの指摘がある。マスクなど医療資材の確保や検査態勢の整備も手間取った。

 安倍晋三首相は「国民の生命を守り抜く」と繰り返してきた。しかし逆に危機管理能力に疑問符が付いたと言える。

 国内では1月半ばに初めて感染者が確認され、政府は4月7日に新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。5月25日に全面解除したが、経済は大きなダメージを受け、現在も回復は見通せない。

 約7年8カ月に及ぶ政権の負の側面が噴出したように見える。

 全国一斉休校要請は、首相が科学的根拠もなく唐突に打ち出した。国民のニーズを無視した布マスク配布や、感染が拡大する中で始めた「Go To トラベル」は政府内で議論を重ねておらず、世論の反発を招いた。

 専門家会議の議事録も作成されず、政策立案の過程を事後に検証するのが困難になった。「森友・加計」問題にみられた公文書管理のずさんさがここにも表れた。

 何より、コロナ対策を巡る首相の会見からは、ドイツのメルケル首相やニュージーランドのアーダン首相のように、疑問に丁寧に答えようとする態度がうかがえなかった。

 共同通信の世論調査では、政府のコロナ対応を「評価しない」とする回答が約6割にも上っている。コロナ禍の国民の苦境に首相が真摯(しんし)に向き合っていないと多くの人が感じている証しだ。このままでは政治への信頼も大きく損なわれる。

 自民党総裁選では、感染防止策のあり方とともに、経済活性化との両立が重要な争点となる。これまでの取り組みの検証も欠かせない。

 経営悪化した医療機関の支援や保健所の体制強化、PCR検査の拡充、休業要請に補償と罰則を伴わせる新型コロナ特措法の早期改正などについても、議論を重ねるべきだ。

 検査態勢の拡充などは約10年前の新型インフルエンザ流行時の教訓として対応を促されていた。しかし政府は保健所を減らし続け、今回の混乱の一因となった。

 秋から冬にかけては、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行も懸念されている。

 国民の命と暮らしを守る決意と具体策を明確に示し、信頼回復の一歩とする必要がある。

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