社説

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 新型コロナウイルス感染症の水際対策として実施している入国制限について、菅義偉首相は10月1日から全世界からの入国を条件付きで認めると表明した。観光客を除く、3カ月以上の中長期間滞在する外国人が対象となる。

 首相は先週のコロナ対策本部会合で「経済再生のためには国際的な人の往来再開が不可欠だ」と述べ、経済活動重視の姿勢を鮮明にした。来夏の東京五輪・パラリンピック開催への地ならしの狙いもあるだろう。

 だが、世界全体の感染ペースは加速を続けている。感染者は3千万人を超え、死者も約100万人を数えるなど収束の気配は見えない。

 国内の新規感染者数は落ち着きを見せ始めているものの、インフルエンザとの同時拡大が危惧される時期を迎え、なお警戒が必要だ。

 政府は専門家による分科会で了解を得たとするが、このタイミングでの判断に懸念を示す感染症の専門家も少なくない。感染の再拡大を招かないよう慎重な運用を求めたい。

 日本は現在、約160カ国・地域からの外国人の入国を原則拒否している。一方で、主にビジネス関係者を対象に、感染状況が落ち着いているタイやシンガポールなど16カ国・地域との間で往来再開に関する協議を個別に進めており、一部では既に再開している。

 今回は私費留学生や技能実習生、医療、文化芸術、スポーツなどを目的とする入国も認め、1日千人程度を見込む。

 先に往来を再開させた国々に目を向ければ、欧州ではバカンスや経済再開で人の移動が活発化し、フランスやスペインなどで再流行が起きている。ハンガリーは外国人への国境再封鎖に踏み切り、米国やブラジルを対象に入国規制を緩和していたマレーシアも規制を再強化した。

 ウイルスの流入を防ぐには、まず空港での検査体制の強化が欠かせない。首相の方針を受け、全国知事会は、国内すべての国際空港でPCR検査を確実に行える体制整備などを求める緊急提言をまとめた。検疫官や設備の不足が指摘されるが、迅速な対応が可能なのか。

 政府は、出国前の検査証明や入国後2週間の自宅待機などを受け入れる企業や団体が確約するよう求めている。だが、法的拘束力はなく、実効性には不安が残る。

 検疫やルールをすり抜ける陽性者がいることも想定し、医療機関の受け入れ態勢を点検するなど感染拡大への備えに万全を期す必要がある。

 国や地域によって感染状況は異なる。きめ細かく情報を把握し、感染が再拡大した国は入国を再制限するなど的確に対応を見直すべきだ。

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