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 菅政権では、加藤勝信官房長官が沖縄基地負担軽減担当相を兼務し、河野太郎行政改革担当相が沖縄北方担当相を兼ねる。

 安倍政権時代、沖縄県では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を訴えた故翁長雄志(おながたけし)氏、玉城(たまき)デニー氏が知事選で続けて当選し、昨年の県民投票では7割超が辺野古沖の埋め立てに反対した。

 菅義偉首相は官房長官当時、「普天間の固定化を避け、抑止力を維持するには辺野古移設が唯一の解決策だ」との立場を崩さなかった。だがその間も沖縄の民意は揺らいでいない。政府はいったん工事を中断し、移設方針を一から見直すべきだ。

 新政権では、河野沖縄北方担当相が就任後初めて沖縄県を訪れ、玉城知事と会談した。河野大臣は「経済を中心に内政で沖縄をサポートしたい」と述べた。一方で、辺野古移設の是非を巡る言及を避けた。

 玉城知事は菅首相や加藤官房長官、岸信夫防衛相との会談を望んでいる。首相らは早期に沖縄を訪問し、まずは現地の声にしっかりと耳を傾けてほしい。

 基地負担の大きい沖縄県に対し、政府は経済振興を図ってきた。2013年、当時の安倍晋三首相は21年度まで年3千億円台の沖縄振興費を確保すると約束したが、移設反対の翁長氏が知事になった後、減額傾向が続いた。本年度も約束は守ったものの、概算要求から180億円を減額した3010億円だった。

 菅首相は以前から、振興策と基地問題は関連するとの考えを示している。住民はこれを「アメとムチ」だと受け止め、玉城知事も菅内閣の発足後、「振興と基地負担軽減のリンクはあってはならない」とけん制した。国の意向に従わないなら振興予算は確約しないとも受け取れる手法は、強権的というしかない。

 さらに政府は19年度、沖縄県内の市町村を直接支援する沖縄振興特定事業推進費を設けた。推進費は振興費の一部で、交付は「県の頭越し」との見方がある。県幹部は「県の裁量は縮小し、国の影響力は強まっていくだろう」と述べ、地元では「沖縄社会の分断策」とも受け止められている。21年度概算要求でも、内閣府は30億円増の85億円を求めた。

 こうした政策が続けば、国と県の信頼関係は弱まるばかりだ。

 辺野古沿岸では軟弱地盤が確認され、地盤改良が必要となった。移設計画は費用と工期が増大し、普天間の危険を早期になくすという目的に沿わない。政府は普天間の県外・国外移設も視野に入れ、基地問題と柔軟な姿勢で向き合ってもらいたい。

 沖縄振興策は、この問題とは切り離して進めなければならない。

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