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 米大統領選で民主党のバイデン氏が勝利を宣言した。日本は新政権との関係構築を迫られる。

 焦点の一つが、日米安全保障条約に基づく同盟関係のあり方だ。

 折しも「思いやり予算」といわれる在日米軍駐留経費の交渉が日米間で本格化する。トランプ大統領は日本に巨額の負担を求める構えを示していたが、政権交代が確実になり態度を変えざるを得ないだろう。

 「米国第一」を掲げ圧力をかけ続けたトランプ氏と対照的に、バイデン氏は同盟国との協調を重視する姿勢を見せている。日本に大幅な負担増は求めないとみられる。

 ただ、米兵などの犯罪で米国の裁判権が優先される地位協定の問題など、日米間には古くて新しい懸案も山積している。菅政権は腰を据えてそれらの解決を求めるべきだ。

 思いやり予算は、米軍基地の光熱費や従業員の労務費、離発着訓練の離島への移転費などで、2020年度予算では1993億円に上る。

 地位協定は、在日米軍の維持経費は全て米側負担と定めている。だが、特別協定を結ぶなどの形で、かなりの部分を日本が支出してきた。

 5年を期限とする現在の特別協定が20年度末で期限切れとなるため、両国政府は週内に次の協定に向けた実務者交渉を正式に始める。トランプ氏が年間80億ドル(約8400億円)の負担を求めているとの証言もあり難航が予想されたが、新大統領誕生で風向きは変わるだろう。

 それ以外にも日本は在沖縄海兵隊のグアム移転経費などを負担している。米軍関係経費全体では、20年度予算で6千億円に迫る額となる。

 米国防総省の発表によると、日本は米軍駐留経費の75%を負担しており、韓国の40%、ドイツの33%を上回る。他の同盟国以上に肩代わりしているのが実情である。

 そもそも地位協定にない思いやり予算は1978年度に始まった。対日貿易赤字を背景にした米側の要求に応じた結果とされる。同盟関係悪化を懸念した日本の意向で協定改定を避けた経緯が最近、米国の公文書で確認された。

 米国で新政権が発足するこの機会を捉えて、これまでの曖昧な形を改め、負担と日米双方の責任を明確にしなければならない。同時に、全国知事会も求めているように、地位協定の抜本的な見直しを菅政権から強く提起すべきである。

 軍事力を誇示する中国との関係を考えても、日米同盟が安全保障の基軸であることは確かだ。安保を取引材料としたトランプ政権と比べ、バイデン政権とはより冷静に話し合えるだろう。足元の懸案を解消してこそ、同盟への国民の信頼は増す。

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