社説

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 政府は2020年度第3次補正予算案の編成作業に着手した。新型コロナウイルス対策や雇用支援、消費喚起策が柱となる。

 与党幹部からは、15兆円超だ、30兆円だと巨額支出を求める発言が相次ぐ。衆議院議員の任期が来年10月に近づく中、解散総選挙をにらみ支持率上昇につなげる思惑が見える。

 国民のニーズとずれた「アベノマスク」や、不正受給が相次ぐ持続化給付金など、同じくコロナ対策を旗印とした過去2回の補正予算では中身を十分に煮詰めない施策が目立った。規模ありきの予算編成で財政規律は緩み切っている。

 税収が伸びない中、財源は今回も国債に頼らざるを得ない。すでに90兆円を超す本年度の新規国債の発行額がさらに膨れ上がるのは確実だ。政府は中身を精査し、コロナ禍で苦しむ国民や企業に適切に届く施策を講じねばならない。

 3次補正では、企業が支払う休業手当の一部を国が補う雇用調整助成金の特例拡大が検討されている。観光支援の「Go To トラベル」も期間が延長される見通しだ。

 助成金の特例拡大は、従業員を他社に出向させる企業が主な対象になる。だが、契約条件が不明瞭なため現行の助成金や持続化給付金の対象外となっている人も少なくない。コロナ禍による解雇・雇い止めは7万人を超え、雇用危機は深刻だ。政府は企業だけでなく働く人への支援も手厚くしてもらいたい。

 「Go To トラベル」では高価格帯の宿泊施設への利用集中や、宿泊をキャンセルして買い物に使えるクーポン券だけを入手する悪用例が表面化している。延長するなら制度設計の見直しが欠かせない。

 北海道や東京などでは感染者数が急増し、「第3波」の可能性も指摘される。こうした状況で、感染拡大の誘因となる都道府県間の移動を政府が促してよいのかも、十分に議論するべきだ。

 デジタル化の推進や国内のサプライチェーン(調達・供給網)強化、国土強靱(きょうじん)化など、コロナ後を見据えた施策も3次補正には計上される。これまでの補正予算にもコロナとの関連が薄い項目が散見されたが、同じ轍(てつ)を踏む恐れがある。

 本年度は補正予算分も含め、政府の裁量で使える予備費がコロナ対策を名目に11・5兆円計上され、まだ7・2兆円残っている。政府はこれを3次補正の財源にする方針だが、巨額の使い残しがあるのに、さらに大型補正を組む是非も問われる。

 官邸主導を掲げるなら菅政権は各省庁の要求に厳しく目を光らせ、財政健全化とコロナ対策を両立させる姿勢を示さねばならない。

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