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 秋篠宮さまが皇位継承順で1位の皇嗣(こうし)の地位に就いたことを内外に示す「立皇嗣の礼」が、皇居・宮殿で催された。昨年4月からの代替わり儀式はこれですべて終了した。

 政府は今後、安定的な皇位継承策の検討を本格的に始めることになる。上皇さまの生前退位を可能にした特例法の付帯決議で、衆参両院が速やかな検討と報告を求めたが、既に3年以上が経過しており、とりまとめを急がねばならない。

 ところが、政府内では結論提示を見送る考えが拡大しているという。議論の焦点となる女性・女系天皇容認や女性宮家創設に、自民党の保守派などの反対が根強いためだ。

 菅義偉首相は「先延ばしできない重要な課題」と述べている。それなら、自ら先頭に立って議論を前に進めるべきである。

 皇室典範は、父方が天皇の血筋を引く男系男子が皇位を継ぐと定めている。現在、資格を持つのは秋篠宮さまと長男悠仁さま、上皇さまの弟常陸宮さまの3人だけだ。

 立皇嗣の礼の中心儀式に立ち会った成年皇族のうち、男性は84歳の常陸宮さま1人だった。皇室では秋篠宮さまから悠仁さままで41年間も男子が誕生しておらず、改めて危機的な状況をあらわにしたといえる。

 事態を打開するために提起されたのが、女性・女系天皇に道を開く考え方である。小泉政権時の2005年、「皇位の安定的な継承を維持するためには不可欠」とする報告書を有識者会議がまとめた。

 さらに野田政権は、女性皇族が結婚後も皇室に残れる「女性宮家」の創設によって、当面の皇族の減少に対応する方策を打ち出した。

 国民の理解も広がってきた。

 共同通信が今年3~4月に実施した世論調査では、85%が女性天皇に賛成し、母方に天皇の血筋がある女系天皇への賛成も79%に上った。

 女性宮家創設にも、多くの人が前向きの受け止め方をしている。

 しかし、保守層を支持基盤とした安倍晋三前首相は女性・女系に否定的とされ、約8年の在任中、ほとんど議論が進まなかった。

 確かに天皇制は男系で継承されてきた。ただ、保守派が重視する男系の「伝統」とは異なる研究成果もある。過去に母親も天皇だった例が複数あり、河西秀哉名古屋大大学院准教授は、男系・女系にこだわらない「双系」だったとの見方を示す。

 求められるのは、今の時代にふさわしい皇室像を描く、国民的な議論だろう。「慎重かつ丁寧に行う必要がある」(菅首相)のは当然だが、いたずらに時間をかければ、今後の女性皇族の結婚離脱などで、さらに厳しい状況を招く恐れがある。

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