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 日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、オーストラリアなどの15カ国首脳が、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に合意し署名した。

 2013年の交渉開始から7年で結実にこぎつけた。人口でも国内総生産(GDP)でも、合計で世界の3割を占める巨大経済圏となる。

 日本が中韓と経済連携協定を結ぶのは初めてだ。それぞれ日本の輸出入総額で1位、3位と密接な関係にある隣国だが、知的財産や通商ルールを巡って摩擦が絶えない。協定署名を機に、日本のリードで公正な貿易を域内に広めねばならない。

 協定では、域内の貿易について品目ベースで91%の関税を撤廃する。電子商取引や知的財産などの統一ルールもつくる。

 日本が重視するコメや麦などの重要5品目は関税削減の対象外となった。一方で自動車部品や清酒などに課される関税は段階的に下がり、最終的な撤廃率は9割を超える。

 輸出には大きなプラスとなる。コロナ禍で落ちこんだ経済を再生させる糸口としたい。

 残念なのは、インドが関税撤廃による赤字拡大を恐れ、昨年11月から交渉に参加していない点だ。RCEPのメリットが薄らぐだけでなく、人口も経済力も加盟国で突出する中国中心の運営となる恐れがある。

 そもそも04年に日中韓による連携協定を中国が提唱したのに対し、日本が中国主導を警戒してインドや豪州なども加えた連携協定を呼びかけ、RCEPに発展した。

 RCEPへの新規加入は一定期間認められないが、インドは例外扱いとなった。日本政府は加盟国と共同で、粘り強くインドに協定加盟への交渉復帰を働きかけるべきだ。

 米国の国際機関からの脱退や英国の欧州連合(EU)離脱など、米トランプ政権の影響で世界に自国第一主義が横行した。大統領選挙で軌道修正を掲げるバイデン氏が勝利を収め、大規模な経済連携協定のRCEPが動きだしたことは、国際社会にとっても自由貿易の重要性を再認識する意義がある。

 インフラ整備と引き換えに途上国が巨額の債務を抱える一帯一路構想や東南アジアへの海洋進出など、中国の強権姿勢への懸念は強まるばかりだ。トランプ政権は保護貿易で対峙(たいじ)したが、市場の混乱も招いた。

 今回の協定では、加盟国に進出した企業に国が技術移転を求めることを禁ずる項目が盛り込まれた。名指しこそしていないが、中国を意識した内容とみていい。

 公正貿易の旗の下、加盟国で共存共栄を図りながら大国をけん制する役割も、RCEPには期待したい。

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