社説

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 新型コロナウイルス禍の旅行支援策「Go To トラベル」と外食支援策「Go To イート」について、菅義偉首相が政府の対策本部会議で一部見直しを表明した。感染拡大地域への旅行の新規予約を一時止めるほか、食事券の新たな発行も止めるよう知事に要請する。

 11月に入って全国で感染者数が急拡大し、病床使用率も上昇して医療体制の逼迫(ひっぱく)が現実味を帯びている。専門家は爆発的感染の可能性に言及し始め、人の移動を促す「Go To」に批判が集まっていたが政府は見直そうとしなかった。

 踏み込んだ対策を求める声に押された形だが、きのうからの3連休で空港や観光地は混雑も見られる。またも政府のコロナ対策は後手に回ったといえる。

 首相は見直しの具体的な時期や内容に言及していない。年末年始に向け「Go To」利用の増大が見込まれ、政府は早急に中身を詰めねばならない。すでに予約した人のキャンセル対策も不可欠だ。

 首相は経済再生と感染拡大防止の両立を掲げ、安倍前政権の官房長官当時から「Go To」に力を入れてきた。見直しに二の足を踏んだ一因だろう。

 国民に「3密」回避やマスク着用を呼び掛けてはいるが、政策の重心は経済再生にあった。政府がアクセルを踏み、ブレーキは国民任せだったといえる。

 だが強力な感染防止対策が遅れれば遅れるほど、抑え込みが難しくなる。緊急事態宣言を出すような事態になればより大きな損失を被ることを、政府は学んだはずではなかったか。

 中途半端な対応では同じ展開になりかねないとの強い危機感を持ち、対策を講じる必要がある。国民にも明確なメッセージを示し協力を求める段階だ。

 高価格の宿泊施設や飲食店への利用集中、ポイント利用を巡る不正など、一連の「Go To」にはいくつも問題点が指摘されてきた。急ごしらえで施策の内容を十分に煮詰めなかった結果である。中小業者までメリットが及んだとは言い難い。

 今回の見直しを機に制度全体を再考し、感染が収束した段階で広くメリットが及ぶ事業となるよう、「Go To」全体を練り直すべきだ。

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