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 淡路市の養鶏場で毒性の強い高病原性鳥インフルエンザが発生し、兵庫県と陸上自衛隊による約14万6千羽の殺処分が本格化した。県内で感染が確認されるのは2004年以来である。

 5日に国内で約3年ぶりとなる感染例が香川県で確認されて以来、高病原性鳥インフルエンザの発生は今シーズン10例目となる、当初は香川県内に集中していたが、その後は福岡県にも広がった。

 ウイルスは渡り鳥や野鳥などによって運ばれるが、車のタイヤや衣服などにも付着するため、結果的に人間が広めている可能性がある。一度国内で確認されれば全国どこで発生しても不思議はない。

 感染が拡大すれば膨大な数の殺処分が必要になり、養鶏農家に大きな打撃が及ぶ。淡路島はもちろん、県内全域で緊張感を高めて対策を再確認するべきだ。

 香川の発生例を解析した農業・食品産業技術総合研究機構は、昨年冬に欧州で流行したウイルスが渡り鳥とともに海を渡って日本に侵入したとの見解を示した。雨量の少ない香川はため池が多いため野鳥が生息しやすく、その点が鳥インフル多発に関係しているのではないかとの専門家の指摘もある。

 兵庫県内にもため池が多く、各地で渡り鳥が飛来する季節になった。ウイルスが侵入するリスクも高まっていることを認識しておきたい。

 県は香川の発生直後から、緊急消毒や防鳥ネットの徹底などを関連事業者に呼びかけてきた。ウイルスは鳥だけでなく野生動物によっても運ばれるので、鶏舎のすき間を防ぐなど侵入経路を徹底して遮断することが不可欠だ。

 国内では卵や鶏肉を食べて鳥インフルエンザウイルスに感染した例はない。加熱すれば感染性はなくなる。ただ海外では、鳥との濃厚接触による感染例がまれにあり、致死率は極めて高くなっている。

 危惧するのは、感染が広がる中で遺伝子が突然変異し、人に感染しやすい強毒性の新型インフルエンザウイルスとなることだ。その場合、免疫保有者がほとんどいないため、政府の推定では国内の死者が64万人に上る。最大で200万人に達するとの研究もある。

 新型コロナウイルスの感染者数が全国で急速に拡大し、医療現場は逼迫(ひっぱく)状態に直面している。鳥インフルエンザが突然変異して実際に感染者が増える展開になれば、社会全体が混乱に陥るのは必至だ。

 そうした事態を招かないためにも、官民を挙げて早期のうちに鳥インフルエンザの感染拡大を収束させなければならない。

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