社説

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 新型コロナウイルス対策を検討する政府の分科会が、感染が急速に拡大する「ステージ3」に当たる地域で今後3週間に集中的に対策を実施するよう提言した。「このままの状態だと、通常の医療で助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねない」と強い危機感を示している。

 国内の感染状況は悪化の一途をたどっている。感染者増が顕著な北海道や首都圏、関西圏、中部圏では、予定した手術や救急患者の受け入れが制限される事例も出始めた。他地域も予断を許さず、もはや医療崩壊への瀬戸際と認識せねばならない。

 提言は、飲食店に対する営業時間短縮要請や他地域との往来を控えることを挙げた。政府が推し進める「Go To トラベル」事業については感染拡大地域からの出発分も停止する必要性を訴えた。

 菅義偉首相は、きのうになってようやく、大阪市と札幌市を出発する旅行も「利用を控えるよう呼び掛ける」と表明した。両市を目的地とする旅行は割引対象から除外しているが、追加対策を迫られたかたちだ。

 ただ、分科会が「ステージ3」相当とした東京23区と名古屋市の扱いには言及しなかった。この期に及んで見直しに後ろ向きな政府の姿勢は、専門家の危機感や国民が抱く不安とはなお大きな溝があると言わざるを得ない。

 残念なことに、都道府県知事と政府との間で判断の責任を押し付け合うような状況も生じている。対応が遅れるほど社会経済活動への影響が甚大になりかねない。

 気がかりなのはトラベル事業の停止を巡る足並みの乱れである。都道府県によって対応がまちまちだと効果が低減する恐れがある。政府が責任をもって司令塔を務めるべきだ。

 その上で双方が連携し、提言を踏まえた具体策を一刻も早く実行に移さなければならない。

 兵庫県の感染状況も深刻化している。11月に入って新規感染者が100人を超える日が相次ぎ、確保病床の使用率も26日時点で約66%と高止まりが続く。今週初めの時点でステージ3の判断指標6項目のうち半分以上を満たす。時短要請などの感染拡大防止策とともに、医師や看護師らを確保し病床を増やす医療体制の整備が急がれる。

 分科会の尾身茂会長はきのうの国会審議で「個人の努力に頼るステージは過ぎた」とし、政府、自治体のさらなる対策強化を求めた。

 首相肝いりのトラベル事業の成果にこだわっている状況ではない。専門家の指摘に真摯(しんし)に耳を傾け、首相が自ら前面に出て、感染封じ込めに向けた踏み込んだ対策と国民に向けた強いメッセージを発する時だ。

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