社説

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 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日して菅義偉首相らと会談し、新型コロナウイルス感染拡大で1年延期された東京五輪・パラリンピック開催へ協力を確認した。

 会長の来日は感染者数が過去最多を連日更新する国内の「第3波」と重なった。開催実現を強くアピールする狙いだったが、国民の多くは耳を傾ける状況ではなかっただろう。

 会談では、観客を入れて開催する方針などが確認された。しかし、感染リスクを抑えるための具体的な議論は見えず、開催に前のめりなIOCと政府の姿勢だけが際立ったと言える。

 感染拡大防止に関する懸案が来春に先送りされた一方、政府は海外からの観客に対し、入国後14日間の隔離を免除し、公共交通機関の利用も認める方向で検討を進めている。

 入国や移動の制限で、観戦が困難になるのを避けたい思惑がにじむが、欧州や米国では今も感染者が増え続けている。まして、国内でも感染が急拡大している現状では多くの人が不安を抱くのは当然のことだ。

 開幕すれば、おのずと世界各地から人が集まる。開催方法は今後の国内外の感染状況を踏まえ、無観客や国・地域を限定した受け入れなども選択肢として慎重に検討する必要がある。

 さまざまな課題の打開策として、ワクチン開発に期待が寄せられている。しかし、まだ完成しておらず、その効果も測りようがない。ワクチンが行き届かない場合なども想定し、感染拡大に歯止めをかける対策を練るのが最優先である。

 世界的な感染拡大は、各競技の予選実施にも多大な影響を及ぼしている。IOCによると、東京大会の約1万1千の出場枠のうち、確定はまだ6割足らずだ。感染再拡大の追い打ちで残り4割の選出は見通せない。国の外出制限方針などで満足に練習できないケースもあり、不公平が生じる可能性もある。

 なにより国民の理解と共感がなければ五輪の成功はおぼつかない。菅首相は「人類がコロナウイルスに打ち勝った証しに」と開催の決意を語るが、収束の兆しがない中では空虚に響く。誰もが納得できる感染対策と丁寧な説明に努めるべきだ。

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