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 政府、日銀が、新型コロナウイルスの感染拡大で経営に打撃を受けている地方銀行への支援策を相次いで打ち出した。

 2020年9月中間決算では、上場する77地銀の6割が利益減や赤字に陥った。非上場の金融機関も大半は業績が振るわない。人口減で地域経済が衰退する中、中小企業の資金繰りを支え経営改善を後押しするなど地銀は重要な役割を果たしており、政府、日銀が支えることに異論はない。

 だが今回の政府、日銀の支援策が経営統合を条件の柱としている点は見過ごせない。菅義偉首相はかねて地銀再編の必要性に言及しており、日銀も歩調を合わせたように受け取れる。

 地銀の経営悪化の一因には、黒田東彦(はるひこ)総裁の就任以来8年近く続く大規模緩和策もある。その点を日銀は認識し、地銀を支援するのなら金融政策を再考するべきだ。

 日銀の支援は、地銀が経営統合や収益力の強化を図れば日銀に預ける当座預金の利子を上乗せする。事実上の補助金に相当するだけでなく、16年に日銀が導入したマイナス金利と相反している。

 金融機関が日銀に資金を預ける際、日銀が利子を徴収するのがマイナス金利だ。黒田東彦総裁が掲げた物価上昇率2%の実現が見通せず、金融機関に企業などへの融資を促して市中に出回るお金を増やし物価を押し上げる狙いだった。だが思惑通りに融資は伸びず、金融機関の収益悪化をもたらした。

 今回、対象を絞ったとはいえ、マイナス金利による弊害を日銀が自ら認め、手を打ったことになる。なし崩し的に既成事実とするのではなく、金融政策の変更としてきちんと市場に説明するのが筋ではないか。

 政府の支援は、統合や抜本的な事業見直しを決めた地域金融機関への交付金で、来年夏にも創設する。同一地域内の地銀統合で融資シェアなどが寡占状態になっても、金融庁が認めれば独占禁止法を適用しない特例法も施行された。

 政府と日銀がこぞって統合をあおっている感がある。懸念するのは金融機関が統合に向け、業績の振るわない融資先を選別し始めるのではないかという点だ。バブル崩壊後、「不良債権」とされた多くの企業が融資打ち切りで破綻し、経済をさらに冷え込ませたことを思い起こす。

 統合は、金融機関が地域経済を支えられる十分な体力をつけるための手段であり、自らの生き残りを目的とするなら本末転倒である。その認識を欠いたまま、政府、日銀が「地域金融機関は統合ありき」に陥ることがあってはならない。

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