社説

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 徳島、鳥取を含む2府6県と4政令市でつくる関西広域連合が2010年12月の設立から10年を迎えた。

 防災や医療分野などで府県を超えた連携が一定の成果をあげる一方、国の出先機関移管や権限・財源の移譲など「本丸」と位置付ける地方分権改革は停滞している。新型コロナウイルスへの対応でも存在感を十分発揮したとは言えない。

 東京一極集中のリスクがあらわになる中、分権型社会実現への突破口になれるか、改めて広域連合の真価が問われている。

 広域連合は、地方自治法に基づき7府県が参加して日本で初めて発足した。12年に神戸市や大阪市などの政令市が加入し、15年には難色を示していた奈良県も加わって関西全域を網羅するかたちとなった。

 発足時は、分権を「1丁目1番地」とする民主党政権下で、国土交通省地方整備局など国の出先機関の業務や職員を移す「丸ごと移管」を求め、橋下徹大阪府知事(当時)の発信力も生かして注目を集めた。

 発足3カ月後に起きた東日本大震災では、府県ごとに担当する被災県を決める「カウンターパート方式」を導入し、迅速で効率的な支援を展開した。その後の災害対応にも引き継がれ、国の制度化に結びついた実績は評価されていいだろう。

 ドクターヘリの一体運用や観光政策などでも広域のメリットを生かした取り組みを着実に進めてきた。

 しかし、分権改革の機運は自民党の政権復帰で急速に後退した。政府が進める出先機関の地方移転も京都市への文化庁、徳島県への消費者庁の一部などにとどまっている。

 発足当初から連合長を務めた井戸敏三兵庫県知事は会見で「10年間活動を展開し続けたことが一番の成果だ」と振り返った。次の10年に向けて求められるのは目に見える成果である。新たな連合長に選出された仁坂吉伸和歌山県知事は「関西として一つのビジョンを持つことも大事ではないか」との見解を示した。

 コロナ禍への対応では課題も見えた。府県間で医療物資の融通やPCR検査の受け入れなどに取り組むほか、緊急事態宣言の際は「関西・外出しない宣言」などを出した。

 だが警戒レベルの基準は各府県が独自に定めるなど対応のばらつきも見られる。感染状況は一律でなく、知事が強い権限を持つ特措法の下で広域連合がどこまで調整機能を果たせるかは定まっていない。

 今後も広域課題が増すとともに、府県間の利害調整が難しい問題は増えるだろう。広域連合は関西全体のまとめ役として調整力と政策立案能力を高め、改めて国に権限移譲を強く働きかけていくべきだ。

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