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 政府がようやく「Go To トラベル」東京発着の見直しに踏み込んだ。高齢者や基礎疾患のある人を対象に一定期間、利用自粛を求めることで菅義偉首相と小池百合子都知事が合意した。

 政府は既に大阪市と札幌市を目的地とする旅行を対象から外したほか、両市からの出発も利用を控えるよう呼び掛けている。連日、全国最多の感染者数が報告される東京発着の扱いが注目を集めていた。

 ただ、自粛対象は重症化リスクの高い人に限られ、若年層は除外している。小池知事は停止を求めたが、結果は「自粛」にとどまった。手続きの困難さなどがあるにしても、「経済を回す」を重視するあまり、小出しの対策にとどめようとしている印象が否めない。

 感染拡大に歯止めがかからない状況が長引くほど経済へのダメージは大きくなる。緊急事態宣言を出すような状況を回避するには、思い切った措置が欠かせない。「Go To トラベル」は事業をいったん停止すべきではないか。

 国内にはかつてない規模の「第3波」が襲来し、新規感染者が2千人を超える日が相次いでいる。

 留意するべきはここ1週間ほどの死者数の急増だ。おとといは全国41人が報告され、過去最多を更新した。一刻も早く感染拡大にブレーキをかけなければ、死者数の増加もさらに加速しかねない。

 医療現場の逼迫(ひっぱく)度も各地で日ごとに増し、兵庫県内でも一般診療への影響が懸念されている。

 大阪市立総合医療センターでは若いがん患者専用の病棟を近く一時閉鎖する。新型コロナ治療の看護師が不足し、専用病棟の看護師で補うためという。現場のマンパワー不足は医療全体で問題化しつつある。

 医療資源のコロナシフトが続けば、同様の事態が救急患者受け入れの制限にもつながりかねない。政府は重症者数や病床の使用率といった数字だけでなく、医療現場の苦境を総合的に直視する必要がある。

 政府の分科会が先月下旬に出した提言は、「年末年始を穏やかに過ごすため、この3週間に集中して、早期に強い措置を講じる」ことを求めていた。しかし「早期に強い措置」に対して政府がいまだ及び腰の姿勢にあることが、今回の「Go To」東京発着を巡る政策決定で明らかになった。

 もはや限定的な対策の連続で感染状況を改善できるとは思えない。判断を誤れば、医療崩壊も現実味を帯びてくる。首相はリーダーシップを発揮し、都道府県としっかり連携した上で、直ちに強い対策を講じなければならない。

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