社説

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 国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を使った1例目の手術があす、神戸大病院国際がん医療・研究センターで前立腺がん患者の治療に実施される。

 川崎重工業とシスメックスの共同出資会社である「メディカロイド」が開発し、会社設立から7年でようやく実用化にこぎ着けた。成功の報がもたらされるのを祈るばかりだ。

 川重は1968年に米企業と提携し、翌年に国内初の産業ロボを投入して以来、半世紀の蓄積を持つ。自動車生産への導入で先鞭(せんべん)をつけ、半導体業界向けは世界トップシェアを誇る。

 一方、シスメックスは、世界シェア1位の血球計数分野をはじめ医療検査機器と試薬で海外190カ国以上に展開した。兵庫の製造業の代表格である両社がそれぞれの得意分野を持ち寄り、新分野に挑んだのは地域経済にとっても心強い。

 執刀医は手術する部分の立体画像を見ながら、内視鏡カメラや手術器具を付けた4本のアーム(腕)を遠隔操作する。臨床現場に通じた神戸大の医師らの意見を取り入れた、産学連携の果実である。

 開腹しない腹腔(ふくくう)鏡手術に使われ、患者の負担軽減にもつながる。医師らの訓練施設もでき普及を促す。

 日本は医療機器の輸入超過が続いている。手術支援ロボも、市場を席巻するのは米国製の「ダビンチ」だ。本体の購入費が2億~3億円とされる上、年間維持費も2千万円近くが見込まれるため、都市部の大病院でないと導入は難しかった。これらのコストを抑えたのも「ヒノトリ」の強みになる。

 ただ、現時点では泌尿器科の手術に利用が限られ、他領域への拡大が課題となる。

 手術支援ロボは、「ダビンチ」の基本特許が切れて開発競争が激しい。第5世代(5G)移動通信システムや人工知能(AI)を活用し、遠隔手術や熟練した手術医のメス裁きも取り込むなど、「ヒノトリ」を進化させることが重要だ。

 メディカロイド社は構想開始から22年を経た神戸・ポートアイランド2期の医療産業都市に立地する。ものづくりの新たな拠点とする契機ともしたい。

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