社説

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 世界中で民主主義や自由、基本的人権といった普遍的価値観が厳しく問われ続けた1年ではなかったか。

 「Gゼロ」という言葉がある。米国の調査分析会社の設立者でもある政治学者イアン・ブレマー氏がつくった。

 国際秩序を守るリーダーが不在で、G20(20カ国・地域)のような主要国間の協調が機能しない世界を指す。ブレマー氏はGゼロの到来を予測し、その危険性に警鐘を鳴らしてきた。

 米国はトランプ大統領の下で自国第一主義に走り、中国は強硬路線で覇権拡大を狙う。二つの超大国が対立し、まさにGゼロが現実となった世界を、新型コロナウイルスが直撃した。そして今も激しく揺さぶる。

 対応に失敗すれば、過激主義など不安定要素が広がる恐れがある。今ほど多国間協調が求められているときはない。

 来年1月に就任するバイデン米次期大統領は国際協調への回帰を約束した。

 しかし、米国自身が社会の分断やコロナ禍に苦しんでいる。大統領選挙では民主主義の土台である選挙の公正さが問われる事態になった。対外的なリーダーシップをどこまで発揮できるかは不透明だ。

 日本は民主主義陣営の一員として、多国間連携に主導的役割を果たす必要がある。今後、最も難しい課題となるのが、中国との向き合い方だろう。

 中国は一党支配体制への自信を深め、強権的な姿勢を強めている。「香港国家安全維持法」を成立させ、香港の民主派を容赦なく弾圧した。習近平指導部は言論の自由や三権分立を否定し、沖縄県・尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す。

 米中の対立は加速が予想されるだけに、日本の立ち位置がよりシビアに問われることになりそうだ。

 周辺国に目を向けると、日韓の関係改善は糸口すら見えない。北朝鮮は新型ミサイルの開発を進める。東アジアの不安定化が懸念される。

 Gゼロの世界が、自由と人権を尊重し、問題解決へのメカニズムを備える国際社会へと転換できるのか。険しい道のりだが、日本は民主主義を守る姿勢を示し、存在感を高めたい。

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