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 中国はどこまで強硬姿勢をエスカレートさせるのか。まったく容認できない事態である。

 香港警察は、立法会(議会)の元議員ら民主派53人を一斉に逮捕した。香港国家安全維持法に違反した疑いという。かつてない規模の摘発で、現地で活動する米国人弁護士も含まれる。

 驚くのは逮捕理由だ。

 元議員らは昨年9月に予定されていた立法会選挙に向け、同年7月、民主派の候補者を絞り込む予備選挙を行った。立法会の過半数を獲得して予算案を否決し、行政長官を辞任に追い込む狙いだった。

 こうした政治活動がすべて「国家政権転覆罪」の容疑に当たるという。米国人弁護士に至っては、予備選挙の実務を担った団体で会計を担当していたにすぎない。戦慄(せんりつ)すら覚える暴挙である。

 「一国二制度」により、香港には高度な自治や司法の独立が約束されているはずだ。

 ところが、習近平指導部はこの国際公約を完全に破り捨てた。一層鮮明になったのは、反対派の存在すら許さないという姿勢である。

 民主主義や言論の自由を真っ向から否定し続ける中国に対して、改めて強く抗議する。

 デモを力ずくで抑える、活動家を収監する、議員資格を剥奪する-。昨年6月に香港国家安全維持法が成立して以来、中国は民主派を容赦なく弾圧してきた。

 今回、さらにアクセルを踏み込んで元議員らの大量摘発に動いたのは、今年9月に立法会選挙を控えているためだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を理由に、選挙は1年延期された。今のうちに民主派の芽を徹底して摘もうとする意図がうかがえる。昨年の民主派予備選には51人が参加したが、別の事件で収監中か海外亡命中の4人を除いて全員がこのたび逮捕されたもようだ。

 コロナ禍やバイデン次期大統領への政権交代を巡って混乱する米国の隙を突いたとの見方もある。

 ポンペオ米国務長官は自国民の逮捕を受け、制裁措置を検討する考えを示した。中国は「香港への干渉には断固反対する」と非難している。

 国際社会の批判に耳を貸さない中国との向き合い方は確かに難しい。しかし超大国同士が角を突き合わせれば、緊張は高まるばかりだ。多国間連携による働きかけを一層強める方向へ、米国はリーダーシップを発揮する必要がある。

 日本政府が静観しているように映るのは残念だ。民主主義の隣国として言うべきことを言う。そこから始めねばならない。

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