社説

  • 印刷

 政府が、兵庫、大阪、京都など全国7府県に、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を再発令した。先週発令された首都圏4都県に続く措置で、期間は同じ2月7日までである。関西、東海圏を含めた三大都市圏を中心に対策を強化し、感染を抑えたい考えだ。

 兵庫の医療現場からは悲鳴が聞こえる。井戸敏三知事は「危機的な状況」と強い懸念を示した。

 このままではコロナ以外の疾病も、必要なときに必要な医療が受けられなくなる。兵庫の医療も崩壊の瀬戸際にあるといっていい。

 もはや一刻の猶予もない。いのちを守るため県と各市町、政府が連携しスピード感を持って対応せねばならない。私たちも自らの生活と意識を見直して感染防止を徹底しよう。

     ◇

 県内では1月に入って感染者が急増している。9日には初めて300人を突破し、きのうも過去3番目に多い285人を数えた。最新の入院病床使用率は77・5%、うち重症向けは60・3%にも上る。

 中でも神戸市は病床全体、重症向けとも90%前後に達している。県内のコロナ患者治療の中核となる市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)のコロナ病床はほとんど余裕がなく、綱渡り状態という。

 救急受け入れも難航

 看過できないのが、入院先や療養先が決まらず自宅などで待機中の患者が県内で約400人にも達する点だ。入院先の調整が追いつかないのが主因だが、適切な医療を受ける前に容体が急変しかねない。

 広島市では昨年12月、60代の男性が待機中に自宅で亡くなった。待機者へのフォローは急務だ。

 県内では救急患者の受け入れ先がなかなか決まらない例も出ている。あらゆる疾病治療にコロナが影を落とし始めている。

 県は入院病床を50床程度増やし、800床程度の整備を目指すとしている。病床だけでなく、医療人材や治療機器も並行して確保しなければならない。民間医療機関も積極的に協力してほしい。

 宣言発令に伴い、県は県内全域の飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請した。知事が当初、「地域限定になる」と述べていたのは、感染者が多い都市部に絞った要請を想定したのだろう。

 しかしここにきて但馬や丹波、淡路など県内全域で感染拡大が見られ、やむを得ない判断といえる。

 さらに先行4都県と同様、午後8時以降の外出自粛の徹底、テレワーク推進による出勤者数の7割削減、イベントの人数制限を打ち出した。

 兵庫県は昨年11月時点でテレワークに取り組む人が2割に満たないとの調査結果もある。7割削減との開きはあまりに大きい。導入していない事業所への支援が不可欠だ。

 「災害」の危機感高め

 緊急事態宣言から1週間となる首都圏4都県では、人出が前回の宣言時ほど減っていない。政府は昼間の外食や不要不急の外出についても自粛するよう呼び掛け始めた。

 政府の求める「午後8時以降の外出自粛」が「午後8時までならOK」と受け取られ、社会全体に感染拡大への危機感が薄らいでいる。菅義偉首相が7日の段階で「(大阪は)緊急事態を再発令する状況にない」と発言するなど、政府の対応が後手後手に回ったことが社会全体の油断を招いたといえる。

 今回の緊急事態では社会活動への影響を考慮し、前回よりも制限は緩くなっている。しかしそのことが決して「現状維持」を意味するわけではないことを、政府は明確に発信しなければならない。

 東京などでは、重症患者の治療の優先順位を付けざるを得ない状況も生じているという。保健所の人員も逼迫(ひっぱく)し、各地の濃厚接触者への調査を縮小する動きも出ている。

 感染経路を追い切れず濃厚接触者のPCR検査などが徹底できなければ、感染爆発が各地で同時多発する最悪の事態も現実味を帯びる。

 県災害医療センター(神戸市中央区)の中山伸一センター長は「医療の需要と医療資源のバランスが崩れており、今の感染状況はまさに『災害』だ」と訴える。

 だが専門的な人材などには限りがあり、医療体制の強化が直ちにできるわけではない。今、なすべきは感染者を増やさないことだ。

 社会全体でもう一度、気持ちを引き締めて日々の行動パターンを見直さなければ、地域医療は崩壊する。一人一人がウイルスと対峙(たいじ)しているのだと、自覚しなければならない。

社説の最新
もっと見る

天気(3月9日)

  • 15℃
  • ---℃
  • 10%

  • 15℃
  • ---℃
  • 0%

  • 15℃
  • ---℃
  • 10%

  • 16℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ