社説

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 阪神・淡路大震災はきのう、発生から丸26年を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言のさなか、市民団体などが開く追悼行事は昨年より3割減った。

 地震発生時刻の午前5時46分を中心に例年5万人が訪れる神戸・東遊園地の「1・17のつどい」は、灯籠の点灯を半日早めて分散来場を呼びかけ、会場の様子をリアルタイムで伝えるオンライン集会も試みた。

 それでも会場に足を運び、祈りをささげる人の波は途切れなかった。

 恒例の炊き出しを中止したり、ウェブ方式に切り替えたりして開催にこぎつけた地域や団体も多かった。

 何年たっても、「1・17」の祈りは被災地にとって大切な営みであると再確認することができた。同時に、ひとたび中断してしまうと関心が薄れ、再開や継続が難しくなるという危機感もあっただろう。

 コロナ禍でも、遺族や被災者の痛みに思いを寄せ、震災の経験を伝える取り組みを諦めない。これが27年目に入った阪神・淡路からの揺るぎないメッセージとなった。

 全国には、今まさに自然災害の痛みに苦しむ被災地がある。昨年7月の記録的豪雨から半年を経た熊本県内では仮設住宅への入居が進む一方で、傷んだ自宅で暮らす「在宅避難」が約2600世帯に上っている。

 公的支援制度のすき間で、困窮や孤独に悩む被災者も増えてくる。一人一人のニーズに寄り添う、多様な支援が求められる段階だ。

 だが、感染防止を理由に各地のボランティアセンターが募集を県内に限定したこともあり、支援が十分に届いていない。感染対策をサポートするなどして、県外のボランティアや支援団体が現地入りをためらう状況を打開する必要がある。

 その分、大きな役割を担ったのが地元の高校生や大学生らだ。感染対策を施しながら続ける訪問活動や交流の場づくりは被災者の励みになっている。被災地内外の支援団体とも連携し、情報発信にも努める。

 離れていてもできることはある。現地の学生ボランティアの活動費などを支援する兵庫発のクラウドファンディングには、全国から目標額を大きく超える寄付が集まった。

 南海トラフ巨大地震では被災地が広範囲に及び、外からの支援は期待しにくい。支援の担い手を地域で育て、広げる取り組みが欠かせない。

 感染症の拡大は全ての人を苦しめる。だからこそ多様な担い手が知恵を絞り、つながり合って、「最後の一人まで」諦めない支援のあり方を考えたい。目の前で困っている人のためにできることを自分で考え、行動する。阪神・淡路で育まれたボランティアの原点に立ち返る時だ。

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