社説

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 新型コロナウイルスのワクチン接種に向け、各自治体の動きが加速している。兵庫県や神戸市などは担当組織を新設した。厚生労働省も自治体向けの説明会で、3月中旬以降に高齢者への「接種券」配布開始といった日程を示した。

 国民の大半が接種を終えるのが感染収束への大きな一歩だが、それには課題が山積する。医療が逼迫(ひっぱく)する中、接種に携わる医師や看護師をいかに確保するか。「3密」を回避し、接種後の体調観察にも対応できる会場をどう設営するか。高齢者や障害がある人たちの足の確保は…。

 自治体だけでなく、社会全体にとっても未経験の一大事業となる。命を守るため政府、自治体や医療機関などが連携し、安全で円滑な接種態勢を早急に整えねばならない。

 政府がスケジュールを示す一方、最大の懸念となっているのがワクチンがいつ、どれだけ供給されるか現段階で不明な点だ。

 政府は米英の3社から計3種類で計1億5700万人分の供給を受ける契約を結んでいる。しかし米ファイザー製が審査で先行するものの薬事承認には至っておらず、接種の具体的な日程などが固めきれない。

 ワクチン確保の時期を巡り、総合調整を担う河野太郎行政改革担当相と坂井学官房副長官の説明に食い違いも生じた。欧州ではファイザーからの供給が遅れているという。政府は正確な情報をいち早くキャッチし、国民に公開する必要がある。

 政府はきょう、川崎市でワクチン集団接種のシミュレーションを実施する。ファイザー社製ワクチンはマイナス75度という超低温での輸送や保管が必要で、冷凍庫やドライアイスなど資機材の確保も不可欠だ。間隔を空けて2度接種するため、接種状況の把握も重要になる。ソフトとハード両面で、十分な対策を講じねばならない。

 世界では既に多くの国でワクチン接種が始まっている。しかしワクチン開発が異例のスピードで進んだことから、安全性に懸念を抱く人が少なくない。日本でも、同じ声を耳にする。

 英国で発見され、感染力が増しているとされる変異種の市中感染が疑われる事例が日本でも発生した。各地で確認されており、予断を許さない状況だ。開発中のワクチンが有効か、期待と不安が入り交じる。

 菅義偉首相は「正しい理解を広げるため、科学的知見に基づいた正確で分かりやすい発信をしていきたい」と述べている。スケジュールありきではなく、具体的な情報を公開することが、疑問や不安の解消には欠かせない。コロナ対策全般にも言えることだ。

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