社説

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、政府が辺野古沿岸部で土砂の投入を始めた2018年12月から2年が経過した。移設に反対する玉城デニー知事の就任からわずか2カ月後のことで、国側と地元との議論が十分とは言えない中での強行だった。

 投入直後の19年2月の県民投票では7割超が埋め立てに「反対」としたにもかかわらず、工事は続けられてきた。民意を押さえ込む国の姿勢に、あらためて疑問を抱く。

 今年1月、辺野古の米軍キャンプ・シュワブに、陸上自衛隊の「水陸機動団」を常駐させる極秘合意があったことが明るみに出た。18年に発足した水陸機動団は「日本版海兵隊」とも言われる。沖縄県幹部は「基地機能の強化でしかない」と反発しているが、もっともだ。

 防衛省沖縄防衛局によると、埋め立て海域全体の約150ヘクタールのうち、南側の約6ヘクタールは海水面から高さ3~4メートルまでの埋め立てが終わった。西隣の約30ヘクタールの区域も、必要な土砂の約6割を埋めたという。

 ただ昨年8月時点の県の試算では土砂の投入量は全体の3・2%にすぎない。今ならまだ移設を再考できる。いったん工事を中止すべきだ。

 当初、政府は工期を5年としていたが、埋め立て予定海域にマヨネーズ並みの軟弱地盤が見つかった。工期は少なくとも9年かかり、工費も3倍近くになるとみられる。

 国側は昨年4月、軟弱地盤の改良工事に向けた設計変更を県に申請したが、県側は承認しない方針だ。申請書に対し、県内外から寄せられた約1万8千件の意見書は全て否定的な意見だった。移設計画は行き詰まっていると言うしかない。

 さらに問題視されるのが、土砂調達先の計画に、沖縄戦の激戦地だった本島南部が入ったことだ。

 土砂は主に県外から搬入する予定だった。だが特定外来生物の侵入を防ぐ県条例の制定を踏まえ、政府が調達先を県内に切り替えた。結果、糸満市などの土砂が候補となった。

 同市などには、今なお戦没者の遺骨が多数眠っているとされる。遺骨が混入し、埋め立てに使われる恐れが生じることは論外だ。国側は「業者が十分配慮して行う」としているが、地元関係者が「戦死者への冒瀆(ぼうとく)だ」と憤るのも無理はない。

 辺野古移設の目的について、政府は「普天間飛行場の危険性を早期に除去するため」と説明してきた。しかし設計変更で移設時期は2030年代以降にずれ込むとされる。

 「早期に除去」が達成できないのは明らかだ。国はまず素直に沖縄の民意に耳を傾け、県との話し合いを始めなければならない。

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