社説

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 政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づき兵庫などに発令中の緊急事態宣言について、栃木を除く10都府県での延長を決めた。期間は3月7日までの1カ月となる。

 延長に伴い、飲食店の午後8時までの営業時間短縮や不要不急の外出自粛要請などは継続する。感染状況などが改善すれば、期限前でも解除する方針という。

 菅義偉首相は1月7日に首都圏1都3県に宣言を出した際、「1カ月後には必ず事態を改善させる」と表明した。その公約は果たせなかったことになる。延長を報告した国会で「国民にもう一度協力いただき、何としても感染拡大に終止符を打ちたい」と述べたが、何が足りなかったのか、解除時期をどう判断するかについて納得できる説明はなかった。

 厚生労働省の専門家組織は、宣言に一定の効果があったとしながらも「重症者数、死亡者数は過去最多の水準で、減少には一定の時間が必要」と分析している。

 対象地域の新規感染者数は減少傾向にあるものの、病床使用率などは最も深刻な「ステージ4」にある地域が多い。兵庫県も1日時点で70%超と高止まりしている。

 こうした状況は、各地で事実上の医療崩壊を招いている。入院先が見つからず、自宅で死亡する事例が相次ぐ。一般診療にもしわ寄せが生じ、国民の命を守る仕組みそのものが危機にひんしている。感染を下火にし、医療機能の回復を待つ上で、延長は致し方ない判断と言える。

 医療現場の過度な負担が落ち着くまで1カ月程度はかかるとの専門家の見方もある。解除後、すぐに再拡大に転じるようでは元も子もない。感染の抑制を確認し、医療機関や保健所の職員が一息つけるまで、状況を慎重に見極めるべきだ。

 その間に、病床の確保や医療機関・保健所の体制強化を早急に進める必要があるのは言うまでもない。

 自粛の長期化で、飲食店だけでなくさまざまな業種や対象地域外の事業者にも苦境が広がっている。非正規労働者を中心とする雇用の悪化も深刻だ。痛みを和らげるきめ細かな支援策は欠かせない。

 国会では、入院拒否者や営業時短に応じない事業者に罰則を科す特措法などの改正案が、衆参計4日間のスピード審議で今日にも成立する。

 与野党の修正協議で懲役を含む刑事罰こそ削除されたが、事業者支援の中身や国会報告の位置付けは曖昧なままだ。私権制限を強化する法改正の審議として拙速は否めない。

 行き過ぎた罰則適用がないか、必要な支援が届いているか、国会は法の運用を厳しく監視する役割を忘れてはならない。

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