社説

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 世界に衝撃を与えたミャンマー国軍によるクーデターは、民主主義を踏みにじる暴挙である。断じて認められない。

 政権トップのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相をはじめ、与党の幹部や国会議員ら数百人が一斉に拘束された。映画監督などの文化人も含まれるという。

 昨年11月の総選挙で不正があったとして、軍最高司令官は1年間の非常事態を宣言した。国軍系テレビを通じ、立法、行政、司法の全権を握ったと主張している。選挙をやり直す考えも明らかにした。

 軍政への回帰は容認できない。国民の大部分も求めてはいないはずだ。何よりまず、国軍はスー・チー氏ら軟禁下に置いている全員を直ちに解放せねばならない。

 国連や欧米諸国は相次ぎ非難声明を出した。人権重視を掲げるバイデン米大統領は、経済制裁の復活を示唆する。

 日本は歴史的にミャンマーとの関係が深く、官民で民主化を後押ししてきた。国軍との対話チャンネルも持つ。民主主義と法の支配に基づいた解決へ向け、菅義偉政権は国際社会と緊密に連携して積極的な役割を果たすべきだ。

 クーデターは1日未明に起きた。この日は総選挙後初の国会が開会され、3月にはスー・チー氏が党首を務める国民民主連盟(NLD)の第2次政権が発足するはずだった。民主化の進展による影響力低下を恐れた国軍は、何としても議会の開会を阻止したかったにちがいない。

 昨秋の総選挙ではNLDが地滑り的勝利を収め、国軍系の野党は惨敗した。軍は二重投票などの不正があったと指摘するが、口実にすぎない。事実、日本や欧米の選挙監視団は公平だったと評価している。

 半世紀近く軍政が続いたミャンマーが民政移管を果たしたのはわずか10年前だ。2015年の総選挙でNLDが圧勝し、スー・チー氏が率いる政権が誕生した。軌を一にして、日本を含む海外からの投資が増え、経済成長が始まった。兵庫県からも企業が進出している。

 しかし、イスラム教徒の少数民族ロヒンギャへの迫害の深刻化で国際批判を浴び、外資が冷え込むこともあった。クーデターが経済に与える打撃はさらに大きいだろう。注視が必要だ。

 中国の動きも無視できない。欧米と異なり、ミャンマー国軍への非難を避けた。政変を機に、投資や開発支援を加速させる可能性がある。

 ミャンマーの民主化と経済発展は、インド太平洋地域の平和と安定のためにも重要だ。日本は外交努力を尽くさねばならない。

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