社説

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 2021年の春闘が始まった。兵庫県を含む10都府県で新型コロナウイルスの緊急事態宣言が延長される中、これまで以上に厳しい労使交渉が予想される。

 焦点は、ここ数年の賃上げの流れを持続できるかどうかである。

 コロナの感染拡大により、世界的に人やモノの動きが鈍化している。日本経済の成長の糧となってきた輸出やインバウンド(訪日観光客)などの外需には、しばらく期待できそうにない状況だ。

 落ち込んだ経済を上向かせるには、内需を喚起する必要がある。それには何より暮らしへの安心感が欠かせない。着実な賃上げの重要性を改めて確認したい。

 政府が産業界に賃上げを強く促した「官製春闘」を契機に、14年から大企業の賃上げ率は2%を超えている。連合は「残念ながら日本全体のものにはなっていない」と指摘し、昨年と同水準の要求目標を掲げた。基本給を一律で上げるベースアップ(ベア)を2%程度、定期昇給などを含め計4%程度の賃上げである。

 対する経団連は、賃上げの必要性を認めつつも、業界横並びや各社一律で行うことについては「現実的ではない」と反論している。事業継続と雇用の維持を最優先させる、との主張だ。

 確かに航空や鉄道、外食などの業界はコロナ禍の直撃を受け、苦境にある。一方、デジタル化や巣ごもり需要で活気づく業種もあり、業績はまだら模様だ。高収益の企業は積極的に賃上げに応じてほしい。

 見過ごせないのは、雇用形態による格差が広がっている点だ。

 コロナ禍で多くの非正規労働者が職を失った。サービス業などが目立ち、政府の有識者会議は昨年11月、「女性への影響が深刻で『女性不況』の様相だ」と生活苦や自殺防止の対策を緊急提言した。

 労組は、働く人の約4割を占める非正規労働者の処遇改善にも力を入れるべきだ。同一労働同一賃金の実効性を高めるための努力は労組側にも求められる。

 テレワークといった柔軟な働き方も重要なテーマとなる。働きがいや働きやすさを高める仕組み、それらに適した人事制度について議論を深めてもらいたい。

 コロナのパンデミック(世界的大流行)は産業や社会の構造転換を加速させるだろう。急速なデジタル化により、事業モデルが変わり、労働者に求められるスキルが変化する。

 格差是正の観点からも、労組の存在意義が一層問われるはずだ。春闘の重要性も無視できない。「コロナ後」を見据え、労組は交渉力をより高める必要がある。

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