社説

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 ミャンマー情勢が緊迫の度合いを増している。

 クーデターで実権を握った国軍への抗議デモが全土に広がり、警官隊の威嚇発砲などでけが人が出た。銃弾を受けて重体になった女性がいるとの情報もある。

 重大な事態であり、強く抗議する。国軍は市民に対する武力弾圧を直ちにやめねばならない。

 国民の怒りは収まりそうにない。「軍の独裁を許すな」「民主主義を取り戻そう」。若者や教員、公務員らに加え、世論形成に影響力を持つ僧侶たちが、連日こう訴えている。民主化の歩みを止めてはならない、との叫びである。

 呼応して、国外でも抗議集会が相次ぐ。神戸市でも日本に暮らすミャンマー人らが集まり、打倒独裁を訴えた。

 国民の大多数は軍政への後戻りを拒絶している。ミャンマー国軍は民意を直視せねばならない。

 国際社会は今こそ結束し、クーデターを撤回させる必要がある。これ以上事態を悪化させないためにも、圧力を高める行動が急がれる。

 アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相ら多くの政治家は今も拘束されたままだ。あろうことか、警察当局はスー・チー氏を追訴した。

 無線機を違法に輸入し使用した容疑という。後付けの理由とみられるが、裁判で有罪になれば禁錮刑の可能性がある。改めて、スー・チー氏ら拘束されている人たちを直ちに解放するよう強く求める。

 国軍は昨年11月の総選挙で不正があったと強弁している。人口約5400万人の国で、二重投票などが1040万票に上ったというが、明確な証拠を示せず、クーデター正当化の口実にすぎない。

 ミャンマーは2011年に民政移管したものの、軍政下で起草された現行憲法が民主化の進展を阻んできた。議会定数の25%が「軍人枠」で、憲法改正の事実上の拒否権を国軍が持つからだ。

 スー・チー氏が率いる与党は15年に続き昨秋の総選挙で圧勝し、改憲への道筋を付けようとしていた。一方、国軍系の野党は予想外の惨敗を喫した。軍部が焦りを募らせていたのは間違いない。

 国連安全保障理事会は、ミャンマーに「深い懸念」を表明したが、国軍への非難は避けた。軍事政権への影響力強化を狙う中国とロシアが同意しなかったためだ。緊急事態に有効な手を打てない安保理の限界が改めて露呈した。

 日本は基本的人権や法に基づく支配といった普遍的価値観を共有する民主主義国と連携し、ミャンマーの正常化へ強い姿勢で臨むべきだ。

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