社説

  • 印刷

 あの強烈な揺れと津波の記憶が、いつしか風化していないか。

 まるで警鐘を鳴らすかのように、東日本大震災から10年を控える福島、宮城両県を再び震度6強の地震が襲った。震源地は福島県沖で、専門家は大震災の余震と見ている。

 幸い犠牲者は報告されていないが10県で150人を超えるけが人が出た。住宅被害などで福島、宮城で一時約200人超が避難所に身を寄せた。約95万世帯に及んだ停電は解消したが、断水が続く地域がある。

 東北新幹線は全線運転再開まで10日前後かかる見込みだ。福島県内の常磐自動車道では斜面の土砂が崩れ道路をふさいだ。東京電力福島第1原発や原子力関連施設の異常はいまのところ確認されていない。

 政府は自治体との連携を密にし、被害の全容を早急に把握してもらいたい。被災者の命を守る迅速な救援活動と的確な情報提供、ライフラインの早期復旧と原発の安全確認に全力を挙げなければならない。

 気象庁によると、地震の規模を示すマグニチュード(M)は阪神・淡路大震災と同じ7・3で、揺れは北海道から中国地方に及んだ。震源の深さが55キロと比較的深かったため大きな津波は起きていないが、5キロほど浅ければ、より強い揺れと津波被害の恐れがあったとする。

 今は被害が表面化していなくても揺れが強かった場所は地盤が緩んでいる可能性がある。被災地ではきのうからの雨で土砂災害の危険も高まっている。安全が確認されるまで、壊れた建物には立ち入らないなど細心の注意が必要だ。

 2011年3月11日の東日本大震災はM9・0の巨大地震で、余震活動も長期間続いている。震度6強を観測したのは本震の翌月以来だが、10年たっても新たな地震や津波のリスクがある現実を見せつけた。

 備えの「穴」を探し、一つずつふさいでいかなければならない。

 JR東日本はこの10年、さまざまな耐震補強を進めてきたが、東北新幹線の架線を支える電柱は手つかずだったという。入試シーズンの受験生らへの影響は大きく、対策の強化とともに空路や長距離バスの増発などをさらに進める必要がある。

 コロナ禍では避難所での徹底した感染防止策が求められる。今回の地震では、事前のマニュアル作成や訓練を生かし混乱なく対応できた事例があった。被災地外の自治体も参考とし、複合災害を想定した避難所運営の準備を急ぐべきだ。

 私たちは災害と背中合わせで暮らしている。そのことを思い起こし、家具の転倒防止や備蓄の点検、避難経路の確認など足元の防災・減災対策を今一度、見直す機会としたい。

社説の最新
もっと見る

天気(4月18日)

  • 16℃
  • 10℃
  • 40%

  • 14℃
  • 7℃
  • 60%

  • 16℃
  • 11℃
  • 40%

  • 16℃
  • 10℃
  • 40%

お知らせ