社説

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 兵庫県が2021年度当初予算案を発表した。一般会計は2兆7304億円、特別会計と公営企業会計を合わせた全会計の総額は4兆6068億円となり、厳しさを増す財政状況の中で、過去最大に膨らんだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受ける中小企業を支援する制度融資の貸付金9549億円が、一般会計の35%を占める。医療・検査・相談体制の確保や離職者向けの雇用創出などにも計400億円超を計上した。

 県民の命と健康を守るため、疲弊した医療や地域経済を支え、次の「波」に備える対策を優先するのは当然と言える。

 併せて問われるのは、コロナ禍がもたらす社会変革の兆しをとらえ、持続可能な将来像と地域の活力につなげる中長期のビジョンである。

 5期目の任期満了となる今夏で退任を表明している井戸敏三知事は、自ら「ポストコロナ社会へのスタート予算」と名づけ、「今の課題解決と財政状況をどう打開するかに専心した」と述べた。

 阪神・淡路大震災の教訓を生かした防災・減災対策、地球温暖化対策の具体化に向けた調査研究、コロナ禍で関心が高まる地方回帰の受け皿づくりなど、将来への布石を意識した施策に「最後の予算」への思いがうかがえる。

 年度後半は次の知事にバトンが渡る。これまで以上に事業の目的を明確にし、達成状況を検証できる仕組みを確立しておかねばならない。

 コロナ禍の影響は財政にも重くのしかかる。県税収入は前年度比919億円減と、リーマン・ショック後に次ぐ大幅な減収を見込む。国からの地方交付税の増額などで辛うじて穴を埋めるが、1年限りの財源対策頼みでは心もとない。

 県庁舎の再整備に必要な基金への積み立てを見送るなど、目玉事業の見直しも余儀なくされた。

 借金に当たる県債残高は21年度当初で4兆9584億円に上り、返済が財政運営の足かせとなっている。

 県は震災復旧・復興事業で悪化した財政を立て直すため、08年度から行財政改革に取り組んできた。だが、震災関連の借金はまだ約2500億円残り、完済まであと10年程度かかるという。税収を増やす方策とともに、行財政運営を不断に見直す取り組みが不可欠だ。

 コロナ後の社会像を描くのに県民の共感は欠かせない。課題に直面する人々の声に耳を傾け、「参画と協働」による兵庫づくりの原点に立ち返るときだ。多様なニーズを予算審議に反映させる県議会の役割も、いつにも増して重い。そのことを肝に銘じてもらいたい。

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