社説

  • 印刷

 昨年後半から続く株価上昇が加速している。今月1日に2万8000円台だった日経平均は15日に3万円台を記録し、バブル経済期の1990年8月以来30年半ぶりの高値となった。

 ワクチン接種による新型コロナウイルス感染者の減少や、その先の景気回復まで織り込んだとの見方もある。だが、一方で昨年の国内総生産(GDP)はリーマン・ショック時以来11年ぶりの下落となった。コロナ失業も8万人を超す。

 実態とかけ離れた株価はバブルに等しい。何かの契機に急落する恐れが否めない。19日は200円以上下げた。政府、日銀は30年前を想起し、市場の動きを注視する必要がある。

 バイデン大統領の経済政策に期待が集まり、株価上昇は米国でも顕著だ。以前からの金融緩和と、コロナ対策の財政出動で、大量の資金が社会にあふれている状況は日米に共通する。

 しかし長引くコロナ禍で経済活動は冷え込み、行き場を失った資金が市場に流れ込んで株価を押し上げているとみられる。

 コロナ対策として注ぎ込まれた資金が生活に困窮する人や業績悪化に苦しむ事業者に行き渡らず、いびつな回り方をしているのだ。

 感染が収束し景気回復に転じると金融緩和や財政出動が抑制され、株価下落の最大のリスクになるとの皮肉な見方もある。今回の株高がいかに政策頼みであるかを物語る指摘である。

 景気回復を伴わない株高は雇用や賃金の増加に直結せず、株や投資信託を持つ人と持たない人の格差を広げる。ここでバブルがはじければ、日本経済が受けるダメージは計り知れない。

 政府は感染抑制策を着実に進め、経済の自律的な回復を促さねばならない。

 必要なところにお金が届くよう施策を練り直すことも重要だ。政府のコロナ対策は1人10万円の給付金や飲食店への時短協力金など一律の支給が多いが、所得や経営状態に応じた支援策へ転換する必要がある。

 日銀の統計では、家計と企業の現預金は1年で104兆円増えた。経済が冷え込む中で株価と預金ばかりが右肩上がりを続ける異常事態に、政府、日銀はもっと問題意識を持つべきだ。

社説の最新
もっと見る

天気(4月13日)

  • 21℃
  • ---℃
  • 80%

  • 22℃
  • ---℃
  • 70%

  • 22℃
  • ---℃
  • 70%

  • 21℃
  • ---℃
  • 70%

お知らせ